機械仕掛けの乙女たち
「ま、待ってくれ、どちらも僕が選んだ鋼鉄の妖精だ」男はあきらめたように二人の女を見る。
そして、二人は得たりとばかりに晴れ晴れと微笑むと「「じゃ、当然、二人まとめて面倒見てよね、Daring!!」」言って女性達は男を左右から抱きしめ、自分の感触をこれとばかりに押しつける。
「それは、それとして、まずは、お返し」言って男の右側にいたフィアナが不意打ちに秀幸の唇を奪う。
「これでようやく対等」言って振り返る彼女は、勝ち誇った笑みをその顔に浮かべ、「…全弾放射準備」二号の昏い声が響き「|全てを跳ね返す最強の盾(イ ー ジ ス)」そうして、二度目の埒のあかない女達の戦いが始まる。
その遙か上空を飛び去る戦闘機の中で 大佐が穏やかな顔で言葉を落とす。
「これで良かったと思うか ドリィ」言う大佐の傍ら、自身の本来の姿を取り戻した赤毛の娘が艶やかに微笑む「結局、私はお前を捨てることなどできなかった、彼らの事を羨ましいと思ってしまったのだからな」男から発されるその声は、むしろ朗らかだった。
「焦る必要はありませんわマスター、既に次代への種はまかれたのですから、変革は大きくそして緩やかに、そうして気づかれぬようにですわ」言いつつ彼女は 魔女の鉄槌部隊のそれぞれの隊員の傍らに立つ鋼鉄の妖精達の姿を思い浮かべ苦笑する。
*
そうして、世界はほんの少しだけ、後戻りはできない程には変わり
「「ねぇ、来ちゃった。アナタに逢いたくて、我慢しきれなくって、私…、迷惑かな」」自分を必要とするその声に微苦笑を浮かべ 呼ばれた青年がそれに応じる。
「あ〜あ〜、こちら魔女の鉄槌部隊、いいかげんにしてくれんかね双頭の蛇、毎回毎回」その上空からあきれ果てたような大佐の声が落ちる。
「「一分一秒でも彼とともにいたいと思うのは止められない想いですもの、いつもいつも赤毛の彼女を連れているあなたにいわれる筋合いはないですわ」」その声に応じるように鋼鉄の機体から苦笑の波動が伝わって来る。
「さてと、じゃあ、フィアナ、一緒に行ってくれるかい、世界に歩み出す為に、僕は僕の道を行くよ、教授にも大佐にも、邪魔はさせない」
二人の鋼鉄の乙女は、自分を必要とする声に、満面の笑顔で応える。
「「|OK! Your Order is Mine!!(よろしくってよ、お気に召すまま)」」
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