蒼い世界
「どこだ? ここは?」
「世界の最果て、または妖精の世界、ドロシーやフィアナ達の故郷と言った方が良いかな」青年に応える声は身近から聞こえた。
「大佐?」
「世界の複雑な絡まり合いを紐解き一枚の平面世界を構築する、まこと夢のような構想、それがR.J.Noman.イエイッ、かのプロフェッサーの構想だ、どれだけの人類がその未来を受け入れられるというのだ、いや、もしくは私の方が臆病すぎるのかも知れぬな、君とフィアナはいまやこの世界の起爆点なのだ。かつての私とドロシーのように、しかし私は一人の為に、いいや二人の為に世界を変える覚悟が無かったのだ。それは、いまでも変わらない」
「いいわ、My Sweets あなたがそれを望み、かつての時にあきらかな決着を付けるというのであれば、私は、あなたの夢を阻む障害の全てを取り除く。」いって大佐にしなだれかかるように現れたのは、オレンジ色の髪を炎のようになびかせた女性。
そして、仁科の元にも彼の為だけの妖精が姿を顕す。
「ダーリン、貴方が望むのならば私のいない未来を望むというのであれば、そう、叶えてあげるわ、古きよき時代に戻りたいというのであれば、少し寂しいけれどそれをあなたが望むというのであれば、でも、あなたはもう、選んでしまった」
「その通りだな、お互い相容れない道を選んでしまった。ならば、ここで決着をつけねばなるまい」
「娘達よ、私の愛しい娘達、お前達は何故に争うのだね。」響く声は頭上から、教授の道化者が謳うように言う。それはもはや驚嘆するには値しない、どこにでも現れ種を蒔く存在、それが
”|現実を浸食する男(REAL JACK NO MAN JESUS)”なのだ。
「「それは、まさしく”愛”の為ですわ、お父様、あなたが望んだとおりに」」二人の妖精の声が、全く同じ答えを返す。
「よかろう、愚鈍なる娘よ、その愚かしいほどの純粋な愛を貫き給え、変革者たる自分を捨てた妖精よ、よかろう、鋼の乙女よ、変革者たる自分を忠実に貫き給え、そうして、これが鍵だ。」宙に浮かぶのそれは、まさに卵にみえる白色の球体
「触れたまえ、そうして己の願いを叩きつけたまえ、変革者達よ」
言われるままに彼女たちはその願いをそれに叩きつける。