鋼鉄の妖精
たぶん、それは初めからの筋書き通り、僕たちは知っていたのだ。僕たちはそれを認めてしまうのがただ、ただ怖かったのだ。
気づいていたのだ。初めて逢ったその時から、たぶん惹かれ逢うのは予定通り、なぜなら、彼女達はいつでも僕たちの側にいた。
少年の頃、傍らに感じた視線は、ふと振り向くと消えてしまった妖精達の姿は、今、傍らにある。確かに触れあえる存在として、受け入れてしまえば、それはそれは甘美な感覚
そうっとそうしてしっかりと鋼鉄の妖精とキスを交わす。その儀式は、古ぼけてそれでも輝きを失わない鍵を自分の心の宝箱へと、それは蕩けるように、世界を変える。色彩が変わる。音の洪水が、肌に触れる風の感触が、そう、全てが変わる。そこで僕たちは気づくのだ、けっして空の色は青くは無いのだということに。
「「ずううっとずうぅっと見て来たわ、あなたを、あなたが小さな機械の玩具に夢中になっている頃からずうううっと、ずううっとあなただけをみてきたもの。愛されているのよあなたは、そうして知って、あの時のキスのような私の歓びを、自分の言葉を手に入れてようやくあなたに話しかけらた時の喜びを、この世界で感じて、私達があなたをどれだけ愛しているのかを」」
それは時間にしては刹那、膨大な情報がそれぞれの幻想少女によってもたらされる。




