ALICE IN THE WORLD
それは果てしなく広がる蒼穹、どこまでも続く蒼、そこに光の線路が行き先を示す。
それに群がる蟻のようにして大佐を中心とする五機の戦闘機が蛇のように絡みつく、「大佐っ!!」有り得ない非現実に狼狽の声が走る。
「うろたえるな、おまえらも戦闘機乗りなら自身の腕と機体を信じろ、私が選び抜いた精鋭共だ!!」その声に激励されるようにして編隊が持ち直す。
しかし、それも一瞬の出来事、その蒼穹には天も地もなく、どこが空かもわからぬその場所でいかな精鋭と言えども高速に振られる機体の中で感覚を翻弄される。
「…アラクネの意図をレベル2まで解放する!!」渋面を一つ、大佐の意志と教授の創り上げたシステムが、解けそうになる後続機を無理矢理にまとめ上げる。
物理法則を無視し、ある時は直角に折れ曲がり、ある時は螺旋状に続く光の線路を黒い機関車が有り得ない速度で疾駆する。
「スレイプニル解放、意識を持っていかれるなっ、撃ぇっ!!」号令とともに各人の意志に導かれた攻撃兵器が標的に殺到する。
次々と物理法則を無視して現れる光の線路は機関車は蒼穹を飛ぶを飛ぶものでは無いという仁科 秀行の意志を反映した産物、そして仁科 秀行の中で培われた常識に未だ捕らわれた非常識の許容限界
多角砲塔 魔女達の狂宴さえかいくぐり大佐の強い意志に導かれ、それは確固たる殺意を持って肉薄する。
「フィアナッ!!」叫んで青年は、自身の半身となった女性を護るかのように引き寄せる。
大佐の意志が、二人の意志を打ち砕こうとする。まさに寸前、その声が蒼穹に響く
「SECOND STAGE ALICE IN THE WORLD」