魔女達の狂宴(ワルプルギスの夜)
「アラクネの意図!!」大佐と呼ばれ続ける男の号令に応えて上空に待機する黒い戦闘機が忠実にその意図を汲む。問答無用、そこに躊躇いは無い。
コーディネーターの仁科 秀行が何を画策しようと、R.D.505が何をしようと、それは絶対的有利な戦闘のハズだった。地上を疾駆する。機関車等、上空からの襲撃者にしてみれば、止まった標的に等しいはずだった。
しかし、そんな常識など通用するはずも無い。かの教授の娘達にそんな常識など通用するハズなど無いのだ。常識、それすらをも覆す不条理、それこそがKi.A.I.Systemなのだ。
「七人の小人、魔女達の狂宴」号令に応えて、メデューサの機体が変形する。
その機体から現れ出た対空砲が、打ち出されたミサイルをことごとく打ち落とす。
「仁科 秀行、正気かね」それは諦めにも似た大佐からの最後通牒
「正気かと聞かれたら、正気では無いかもしれませんね、大佐。しかし、僕は知ってしまったから彼女の真実を、彼女たちの本当を、だから僕は彼女を護る!!」応えるその声には若さ故の真摯なる想いが溢れていた。
「逃げ道など無いぞ、フィアナと心中する気か」自身の機体となった雷鳥を、自身の手足となる五機の機体の中心に据え、器用にそれらを操りながら言葉通り容赦なくミサイルを撃つ。
「本気なのだな」何か遠く眩しいものを見るように大佐は言う。
「…その通りです」その声色に何かを感じながら、仁科 秀行はそう応えた。
「ならば、容赦はしない、遊びは終わりだ!!」その意志に応えて、大佐の操る雷鳥が、R.D.505に肉薄する。それはまさに一歩間違えば地上に大激突の悪夢を現出するほどの低空飛行、過保護なドロシー等、絶対に承知しない針の穴を通すような操縦。残りの五機もそれに追従する。
「この距離なら外れまい、Ki.A.I.Systemですらどうしようも無いほどの距離だ」いいざま、ミサイルを放つ指に躊躇いは無い。
「状態黄色、まだ大丈夫よ、ダーリン」檄走する機関車の中で交わされる短い会話には、今までにはなかった信頼があった。目の前のフィアナの瞳を見つめ一つ頷くと次のステージに進むための言葉を告げる。
「曲率変換システム、スレイプニル起動、妖精の国へ!!」
言葉を告げる目の前の男の頬にそっと触れ、その全てを委ねるように彼女は高らかに次なるステージへ進むための言葉を宣言する。
「OK、ダーリン、|Your Order is MINE(お気に召すまま)!!」




