Real Jack,NoMan
その事実に、気づいてしまった男がもう一人。
その報告書を手にした男は、投げ捨てるように独白した。「なんという発明をしてくれるのだ教授は!!」
人造美人は、教授をこの現実世界に留める為の役目を果たし。
織りなす糸の織りなす超高速のブレイン・ネットワーク・システムは、その利便性と引き替えに、その実、教授の分身をこの世界に蔓延させた。
燃えさかる情熱の自己変革システムは、そのシステムをこの世界に定着させ、機槍天女の曲率変換機関が、世界への浸食を加速度的にした。
そう、いつの間にかこの世界はかの教授によって新たなる次世代の為の苗床と化していたのだ。
そして、”絡みつく蛇”の最高機密、…ありえない、その思いが、よぎり、いや、かの教授ならと思い直す、最も嫌う敵故にもっとも彼の狂気とも言える天才性を熟知しているのは大佐なのだ。そうして出た言葉は「…最悪だ」の一言、その呟きは、教授の優秀なる狂気を証明するともいえる呟きだった。
*
「世界の系統樹、これこそが、私の望む世界を確立する」そこに、ねらい澄ましたかのように教授の声がひびく、驚くことは無い。彼はこの世界に蔓延しているのだ。
「役者は揃い、舞台に上った。さぁ、幕を上げるとしよう。脚本は、私、教授こと、|現実の浸食者(Real.Jack)、さぁ、繰り糸を自らの手で切り離し踊り明かしたまえ、私の人形達、目覚めのベルは、高らかに鳴りひびく」