メデューサ セッション2
昼休み、自分の扱いは珍獣だった。
「へ〜、あれが」とか「ほう、あいつがね〜」とか言った声があちらこちらから聞こえる。
午前中、登校すると共にファンファーレで迎えられた、呆然としているところに、なぜか授与式まで行われ、学長との会話が為され現在に至る。
女子が入校し色づいたその風景の中でも、彼の周りには一種、異様な空間が出来上がっていた。
その中の一つの瞳が、彼を捉えた。長い黄金色の髪、冷たさと寂しさが同居するようなアイス・ブルーの瞳、自身より頭一つ分は高いであろう豊満な肢体、その瞳は明らかに彼を捉えると、喜色一面、華のような微笑みで、彼に抱きついた。
「ようやく、あなたに逢えた」
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「誰だ、あんた?」家族以外の女性に抱きつかれれるという人生の一大イベントに赤面しながらも、彼、仁科秀幸は彼女を自分から引き剥がした。
「う〜ん、薄情者、私を忘れるなんてあり得ないわ、さっきまで私の中にいたのに、ね、ダーリン」引き剥がれた当の本人は、さほど残念そうでもなく、そう言って再び彼に抱きつくとそのまま、彼を押し倒した。
「…っ!」そのまま、彼女を押しのけようとして、その人間の女の子には有り得ない重量感に、ハッとする。よく見れば、彼女は自身をその重みで潰さないように、それでも逃さないように彼を捕らえていた。
「おまえ、フィアナか!?」彼の声に、彼女は微笑みで応えると「そう、どう、私、あなたの好みに合わせてみました。ジャン♪」といって、その場で自身をみせびらかすように華麗にターンしてみせた。