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序
自我を持つロボットの開発が夢物語でなくなった時、熱く議論された事がある。その開発に多額の費用をつぎ込むよりその費用で多くの人間を雇え! つまりはそのような無用なものの開発は即刻中止すべきものだという主張と、それは人類の夢と希望であるという主張が真っ向から対立した。
理論的な構築はすでにそれを夢物語では無くしてはいたが、開発そのものには未だ時間がかかるようであったし、その存在の現実への進出は人間の存在そのものにとって脅威を孕むものであった。
議論は決着を見ぬままに長引きそうであったが、議論そのものの決着を見ぬままにその存在は一人の天才とそこに多大な利益を見いだした企業によってあっさりと世界に実現した。
これが現在、巷にあふれている自動機関出現の経緯である。