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悪役令嬢は物語に支配された世界を、文明で解放する  作者: 南蛇井


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第58話 王国焦り

王都。


王城。


会議室。


重い空気。


誰も口を開かない。


机の上。


一枚の報告書。


開かれている。


沈黙。


長い。


やがて。


一人の貴族が息を吐く。


「……事実か?」


震える声。


問い。


だが。


誰も答えない。


答えは出ている。


すでに。


全員が読んだ。


理解した。


そして。


認めたくない。


「誇張だろう」


別の声。


否定。


願望。


だが。


弱い。


根拠がない。


すぐに返される。


「使者は嘘をつかない」


冷静な声。


事実。


あの使者は。


誇張するタイプではない。


だからこそ。


重い。


「では……」


言葉が続かない。


結論に触れたくない。


だが。


逃げられない。


沈黙がそれを強制する。


やがて。


一人が言う。


「王都より上、か」


その一文。


報告書の中で。


最も重い。


そして。


最も単純。


誰でも理解できる。


だからこそ。


破壊力がある。


ざわめき。


抑えきれない。


「ありえない」


「辺境だぞ」


「追放された女だぞ」


言葉が飛び交う。


否定。


混乱。


だが。


すぐに止まる。


無意味だと気づく。


報告書は。


感情ではなく。


事実で埋められている。


逃げ場がない。


一人の老貴族が口を開く。


「問題はそこではない」


低い声。


全員が静まる。


「人口流出」


短い言葉。


だが。


核心。


別の者が続ける。


「すでに始まっている」


資料が机に置かれる。


数字。


減少。


明確に。


「税収も同様だ」


さらに別の声。


現実が積み上がる。


否定できない形で。


「……止まらないのか」


誰かが呟く。


答えは。


すぐに出る。


「止まらん」


断言。


理由は単純。


「向こうの方が良いからだ」


沈黙。


それ以上の説明はいらない。


すべてを言い切っている。


王国より。


グレイウッドの方が。


生活が良い。


だから人は移動する。


当然の結果。


だが。


それは。


国家にとって。


致命的。


一人が机を叩く。


「ではどうする!」


声が荒い。


焦り。


恐怖。


隠しきれない。


誰も答えない。


答えがない。


選択肢がない。


戦うか。


従うか。


だが。


どちらも現実的ではない。


戦えば負ける。


報告書が証明している。


従えば。


王国の立場が崩れる。


どちらも。


破滅に近い。


「……呼び戻すしかない」


誰かが言う。


静かに。


だが。


重い。


レオナ。


その名前が。


部屋に落ちる。


全員が理解する。


それしかない。


だが。


同時に。


理解している。


「……戻ると思うか?」


問い。


誰も答えない。


答えは明白。


戻らない。


理由は簡単。


向こうの方が。


上だから。


沈黙。


重い。


空気が沈む。


一人が絞り出す。


「では……頼むのか」


その言葉。


屈辱。


王国が。


頭を下げる。


追放した相手に。


だが。


現実は。


それを要求している。


「……そうなる」


誰かが答える。


否定できない。


それが唯一の道。


誇りか。


存続か。


選択は。


すでに決まっている。


沈黙。


長い。


そして。


崩れる。


誰もが理解してしまったから。


王国は。


もう。


中心ではない。


遅れている側。


追う側。


立場が変わった。


完全に。


一人の貴族が椅子に沈む。


「……終わりだ」


小さな声。


だが。


否定できない。


終わり。


少なくとも。


今までの王国は。


終わった。


新しい形に。


変わらなければならない。


強制的に。


外から。


グレイウッドという存在によって。


会議室の扉が開く。


音。


全員が顔を上げる。


伝令。


息を切らしている。


「報告です!」


緊張。


さらに悪い知らせか。


誰もが構える。


伝令は言う。


「聖女様が――」


一瞬。


空気が変わる。


宗教。


もう一つの力。


政治とは別の。


「グレイウッド視察を決定しました!」


沈黙。


そして。


ざわめき。


新たな動き。


新たな衝突の予感。


政治だけでは終わらない。


問題は。


さらに拡大する。


王国全体を巻き込んで。


誰もが理解する。


事態は。


もう止まらない。


加速している。


崩壊へ向かって。


あるいは。


再編へ向かって。


そのどちらかへ。

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