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悪役令嬢は物語に支配された世界を、文明で解放する  作者: 南蛇井


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第49話 王国会議

王城。


大会議室。


長い机。


並ぶ貴族。


だが。


空気は重い。


誰もが分かっている。


状況は最悪。


「……では、始める」


宰相の声。


覇気はない。


疲れている。


目の前の現実に。


「報告は既に受けているな」


誰も答えない。


答える必要がない。


全員が知っている。


税収減。


人口流出。


技術停滞。


すべて。


悪化。


「意見を述べよ」


沈黙。


長い。


誰も口を開かない。


責任を取りたくない。


間違えたくない。


その空気。


やがて。


一人の貴族が咳払いをする。


「……徴税を強化すべきでは」


すぐに反応。


「既に限界だ」


別の声。


「では軍を削減するか?」


「国防を捨てる気か」


言い争い。


だが。


どれも。


場当たり。


根本的な解決ではない。


宰相が額を押さえる。


「他には」


また沈黙。


誰も。


“原因”を言わない。


言えない。


その時。


若い貴族が小さく言う。


「……辺境の都市」


空気が凍る。


全員の視線が集まる。


だが。


否定はされない。


できない。


事実だから。


別の貴族が続ける。


「人が流れている」


「金もだ」


「技術者も……」


言葉が重なる。


誰もが分かっている。


原因は一つ。


グレイウッド。


沈黙。


やがて。


苛立った声。


「ならば潰せばよい!」


強い言葉。


だが。


すぐに否定。


「可能なのか?」


返答できない。


魔導技術。


未知の力。


情報不足。


リスクが大きすぎる。


別の案。


「交渉を」


「応じると思うか?」


再び沈黙。


行き詰まり。


完全に。


その時。


ゆっくりと。


一人の貴族が口を開く。


年老いた男。


静かな声。


「……呼び戻せばよい」


空気が変わる。


「誰をだ」


問い。


答えは明白。


「レオナ・グレイウッド」


名前が出た瞬間。


ざわめき。


思い出される。


追放。


断罪。


婚約破棄。


すべて。


王国側の決定。


その本人を。


呼び戻す。


矛盾。


だが。


現実的な案。


別の貴族が眉をひそめる。


「応じるのか?」


疑問。


当然。


だが。


老貴族は淡々と言う。


「命令すればよい」


空気が一瞬止まる。


だが。


すぐに。


微妙な沈黙。


誰もが理解している。


それが通用しない可能性を。


今の彼女は。


ただの貴族ではない。


都市の支配者。


独立した存在。


それでも。


他に手がない。


宰相がゆっくりと口を開く。


「……使者を出すか」


決定に近い言葉。


誰も強く反対しない。


できない。


他の案がないから。


だが。


その選択。


本質的には。


“敗北”に近い。


王国が。


個人に頼る。


それほどまでに。


追い詰められている。


その時。


扉が開く。


全員が振り向く。


王子。


エドワード。


静かに入ってくる。


視線が集まる。


王子は席につく。


そして。


一言。


「その案で進めろ」


即決。


誰も反論できない。


王子は続ける。


「呼び戻す」


短い言葉。


だが。


その裏にあるのは。


焦り。


そして。


計算。


利用するための決断。


誰もそれを指摘しない。


できない。


会議は形だけ整う。


結論。


使者派遣。


レオナ召還。


だが。


誰も確信していない。


成功するとは。


むしろ。


失敗の予感。


それでも。


進むしかない。


王国は。


もう。


他に手がない。


王子が立ち上がる。


「急げ」


短く命じる。


その声に。


余裕はない。


すべてが。


崩れ始めている。


そして。


その中心にいるのは――


かつて追放した少女。


皮肉な現実。


だが。


誰も笑えない。

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