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悪役令嬢は物語に支配された世界を、文明で解放する  作者: 南蛇井


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第45話 王子苛立つ

王城。


王子の私室。


机の上。


山のような書類。


すべて。


同じ内容。


減少。


崩壊。


停滞。


王子は無言でそれを見ている。


一枚。


手に取る。


「税収減少」


次。


「人口流出」


次。


「農業生産低下」


手が止まる。


紙がわずかに歪む。


静かに。


机に叩きつけられる。


「……ふざけるな」


低い声。


怒り。


抑えている。


だが滲む。


王子は立ち上がる。


部屋を歩く。


足音が響く。


止まる。


窓の前。


王都が見える。


広い。


大きい。


だが――


どこか空いている。


活気がない。


人の流れが薄い。


「……なぜだ」


誰にともなく呟く。


答えは分かっている。


だが。


認めたくない。


王子の脳裏に浮かぶ。


あの日。


広間。


婚約破棄。


そして――


一人の少女。


レオナ。


「合理的ですね」


あの言葉。


感情のない声。


王子の眉が歪む。


「……あれが原因だと?」


否定したい。


だが。


事実は積み上がる。


辺境の都市。


急成長。


王都の衰退。


一致する。


王子の手が握られる。


「……たかが一人だぞ」


信じられない。


一人の人間が。


国を揺るがす。


そんなこと。


あっていいはずがない。


だが。


現実は。


目の前にある。


王子が机を叩く。


「なぜだ!」


声が響く。


部屋の空気が震える。


扉の外。


控えていた従者が動けない。


中から聞こえる怒声。


だが。


誰も入れない。


王子は荒く息を吐く。


感情が暴れる。


怒り。


焦り。


後悔。


だが。


それを認めることはできない。


王子は再び書類を見る。


そこにある名前。


「グレイウッド」


目が細くなる。


「……潰すか」


小さく呟く。


だが。


すぐに別の思考。


情報。


報告。


魔導技術。


鉄道。


通信。


農業。


どれも。


王国にはないもの。


王子の手が止まる。


「……待て」


静寂。


考える。


冷静に。


そして。


一つの結論。


「……使える」


怒りが。


わずかに形を変える。


欲。


王子の目に光が宿る。


「技術を取り込めば……」


王国は立て直せる。


そう思った瞬間。


すぐに別の問題。


「どうやって」


沈黙。


相手は従わない。


むしろ。


独立した存在。


力で奪う?


危険。


交渉?


応じるか不明。


王子は舌打ちする。


「……面倒だ」


その一言に。


すべてが詰まっている。


やがて。


王子は椅子に座る。


ゆっくりと。


そして。


静かに言う。


「呼び戻すか」


空気が止まる。


その言葉。


選択。


レオナを。


再び王国へ。


だが。


それが通用するのか。


考えない。


考えたくない。


王子は目を閉じる。


そして開く。


決意。


歪んだ形で。


固まる。


「……あいつの技術が必要だ」


認めた。


だが。


それは謝罪ではない。


利用。


そのための決断。


王子は立ち上がる。


扉へ向かう。


開く。


外の従者が震える。


王子は短く言う。


「会議を開け」


声は冷たい。


だが。


その奥には。


抑えきれない焦り。


そして。


遅すぎた理解。


すべての原因。


自分の選択。


だが。


もう戻れない。


だから進む。


間違ったまま。


次の段階へ。

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