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悪役令嬢は物語に支配された世界を、文明で解放する  作者: 南蛇井


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第41話 王国の噂

王都。


昼。


市場。


ざわめき。


人が多い。


だが――


どこか不安。


商人たちの会話。


「聞いたか?」


「辺境の話だ」


一人が声を潜める。


「都市ができたらしい」


別の商人が笑う。


「そんな話、前からあるだろ」


だが。


首を振る。


「違う」


「規模が異常だ」


人が集まる。


興味。


不安。


好奇心。


「食料が無限にあるらしい」


「飢えがないとか」


「そんな馬鹿な」


「いや、本当らしい」


さらに。


「魔導で動く馬車」


「夜でも明るい街」


「病気がほとんどない」


話が膨らむ。


誇張。


混ざる嘘と真実。


「税がほとんどないらしいぞ」


「犯罪もないって話だ」


ざわめきが広がる。


「……理想郷か?」


誰かが呟く。


だが。


すぐに別の声。


「いや、怪しい」


「そんな都合のいい場所があるか?」


「魔族と繋がってるんじゃないか?」


空気が変わる。


希望と。


疑念。


その両方。


さらに。


「竜族がいるって話もある」


一瞬。


静まる。


「……嘘だろ」


「いや、見たって奴がいる」


ありえない話。


だが――


否定しきれない。


噂は広がる。


加速する。


王都の別の場所。


貴族の屋敷。


情報が届く。


「辺境が発展している?」


「はい。かなり……」


貴族が眉をひそめる。


「どの程度だ」


返答。


少しの沈黙。


「……王都以上との噂も」


空気が凍る。


「馬鹿な」


否定。


だが声に力がない。


さらに報告。


「人口が流れ始めています」


「商人も……」


貴族の顔が歪む。


「……ふざけるな」


別の屋敷。


別の貴族。


同じ報告。


同じ反応。


否定。


怒り。


そして――


不安。


王城。


廊下。


役人たちがざわめく。


「本当なのか……?」


「ただの噂だろ……?」


だが。


誰も断言できない。


一つ確かなこと。


“何かが起きている”


王都の空気が重くなる。


市場。


再び。


一人の若者が呟く。


「……行ってみるか」


誰かが聞く。


「どこへ?」


答え。


「辺境」


その一言で。


流れが生まれる。


人は動く。


噂に引かれて。


王都。


静かに。


確実に。


何かを失い始めていた。


遠く。


グレイウッド。


発展し続ける都市。


その影響が。


今。


外へ届く。


そして――


王国に生まれる感情。


それは。


恐れ。

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