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悪役令嬢は物語に支配された世界を、文明で解放する  作者: 南蛇井


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第19話 学校設立

水が行き渡り、夜が明るくなり、食料も安定した。


町は、明らかに変わっていた。


だが――


レオナの視線は、さらに先を見ている。


広場の端。


子供たちが遊んでいた。


走り回り、笑い、時に転ぶ。


その様子を見ながら、レオナは呟く。


「学校を作る」


静かな一言。


だが、近くにいたセラが即座に反応した。


「……また大きいことを言いましたね」


レオナは気にしない。


「子供に教育をする」


当然のように言う。


セラは腕を組む。


「読み書きですか?」


「それも」


レオナは頷く。


「計算」


「基礎知識」


そして少し間を置いて――


「魔導の基礎」


セラの眉が動く。


「そこまでやるんですか」


「やる」


迷いはない。


そのやり取りを、近くにいた村人たちが聞いていた。


「学校……?」


「なんだそれ……」


ざわめきが広がる。


聞き慣れない言葉。


いや、概念そのものが薄い。


レオナは簡単に説明する。


「子供に知識を教える場所」


「文字を読めるようにする」


「計算できるようにする」


村人たちは顔を見合わせる。


理解はする。


だが――


「……必要か?」


一人が、率直に聞いた。


悪意はない。


純粋な疑問。


「働ければいいんじゃないか?」


別の者も頷く。


「畑もあるしな」


「生きてはいける」


それが今までの常識。


レオナはその言葉を否定しない。


だが。


「それは“今”の話」


静かに言う。


全員の視線が集まる。


「これから人が増える」


「仕事も増える」


「複雑になる」


一つ一つ、言葉を積み上げる。


「その時、知識がないと回らない」


村人たちは黙る。


想像する。


今の町より、さらに大きくなった姿を。


「読み書きができれば、情報が扱える」


「計算ができれば、取引ができる」


「魔導を理解すれば、技術を使える」


レオナは続ける。


「つまり――」


一瞬の間。


「文明に必要」


その一言は、重かった。


セラが小さく息を吐く。


「……確かに」


納得するしかない。


今の発展は、レオナの知識に依存している。


だがそれでは限界がある。


広げるには――


人を育てるしかない。


村人たちも、完全ではないが理解し始めていた。


「……子供に教えるのか」


「俺たちじゃ無理だな……」


「先生が必要になるな」


自然と、次の話に進んでいく。


レオナは頷く。


「教える人間も育てる」


それも計画の内。


すでに視野に入っている。


セラは苦笑した。


「全部繋がってるんですね」


「当然」


レオナは淡々と答える。


無駄はない。


すべてが次に繋がる。


その日のうちに、場所が決まる。


広場から少し離れた区画。


建物の設計もすぐに始まる。


子供たちは、まだ何も知らない。


ただ、新しい建物ができることに少しだけ興味を持っている。


だが――


それは、この町の未来を変える場所になる。


風が吹く。


木材の匂いが漂う。


新しい柱が立ち始める。


レオナはそれを一瞥し、静かに呟いた。


「これで基盤は整う」


セラがその言葉に反応する。


「基盤……?」


レオナは頷く。


「食料、流通、光、水、教育」


指を折る。


「最低限は揃った」


その言葉の意味を、セラは理解する。


つまり――


「……次は?」


少しだけ、恐る恐る聞く。


レオナは迷いなく答えた。


「宣言する」


「何をですか?」


セラの問いに。


レオナは、ほんのわずかに口元を上げた。


「ここは、もう村じゃない」


そして。


「都市よ」


風が強く吹く。


建設途中の建物が軋む音を立てる。


この場所は、確かに変わった。


そして次に行われるのは――


その事実の確定。

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