表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/26

Epidemic Panic渋谷

 特異的存在、幽霊による連続殺人事件「人を喰らう家」から4年――


 空き家事件など人々の記憶から忘れ去られた頃、非科学的、超常的現象な現象、「特異現象」は人々の前に現れようとしていた。


季節は秋、もうすぐハロウィンが迫るこの季節で物語の主役となる少女の日常は崩れ去り、二度とは戻ることの出来ない運命に足を踏み入れていく。


――愛と憎悪


――希望と絶望


――勇気と使命


人々が織り成す物語の結末とは……


特異現象調査記録 〜ParanormalArchive〜


File2 Cradle of infection

 「杏奈は彼氏作んないの〜?」


「いい男見つかんないんだもんしょうが無いじゃん」


「でも杏奈この前、また告られたんでしょ? ソレもまた振ったの?」


「うん振った〜だって頼りなさそうだったし」


 秋風が少し肌寒さを運んでくる教室で広がる他愛もない会話、目の前の女子生徒は仲良しの友達、玉井優子たまいゆうこ。通称ユッコと過ごす休み時間の教室でアタシは何処か退屈を感じている。


 東雲第一しののめだいいち高校2年、荒谷あらたに 杏奈あんな。ごく普通の一般家庭に生まれ、兄妹には5歳上の兄がいる。

 情に熱い兄とは対照的にクールな性格だがビジュアルの良さとスポーツ万能であるせいか校内での人気は高く交友関係も悪くは無い。


「頼りなさそうって……杏奈の横で頼りになりそうな奴ってそうそういないでしょ。そんなの杏奈のお兄さんだけじゃないの? お兄さん警察官なんでしょ? かっこいいじゃん」


「別に〜? お兄の奴、高校からずっと眼帯してて気持ち悪ぃよ? 最初の方なんか『カッコいいだろー?』とかウキウキになってたし今でもずっとつけてるらしいし気に入ってつけてんだったら大分センス悪いっしょ。厨二病かっつーの」


「えぇ〜そんな人っているんだ〜杏奈のお兄さんって変わってるね。確かに厨二病? かも〜でもそんな特徴的な人なら街中でみたらすぐに分かるかもね?」


 ユッコは笑いながらそういう。そう、兄は警察官。正義感が強い人で昔はよく遊んでくれていた。アタシは兄は別に嫌いじゃなかった、むしろ好きなくらいだった。

 ある日を境に眼帯なんかつけ始めて、高校を卒業して以降『警察官になる』と家を出ていってそれっきり一切家に連絡してこなくなった。ユッコの言う通りそれだけ特徴的な見た目をしているなら本来街中で目立つはずだ。きっと何処かで見かけるはずだが案外出会う事も見かけることも無いのが不思議だった。


「そういやさ、もうすぐハロウィンじゃん? 今年のハロウィンはさ、渋谷行かない?」


 ユッコの提案に杏奈は鳩が豆鉄砲を食らったような顔になる。それを見たユッコが「何その顔〜?」と笑う。


「いや……別に……急にそんな事言うから……」


「杏奈は行きたくないの?」


「いやそういうわけじゃ……」


「じゃあ決まりね! 絶対ハロウィンでカッコいい男捕まえようね!」


 あまりにも邪な理由だった。まぁ別にいいけど。特に男に興味は無いから予定が無くて暇なのも退屈だから行くことにしようかな。


「じゃあそれで。ドタキャンとかマジ勘弁ね、ユッコが言い出しっぺなんだから」


「分かってるってば……あ! そだ! ハロウィンと言えばさ! 仮装! どうする?」


「あ、それはパス。男寄ってくんのダルいから」


「男探しに男避けしたら本末転倒だよ! なにしに渋谷まで行くのさ!」


「アタシはユッコと違って仮装しなくても男寄ってくるからね〜」


 杏奈が得意気にそう言うとユッコは頬を膨らませて「なにを〜!」と怒る。

 そんなユッコを「冗談だよ」となだめる。


 そうして杏奈とユッコはハロウィン当日は渋谷に遊びに行く事に決め、いざ当日。

 杏奈とユッコは渋谷のハチ公前で待ち合わせする事にした。



 これが悪夢の始まりである事も知らずに――



 当日、渋谷はスクランブル交差点を中心に賑わっていた。仮装を楽しむ者、音楽を流して騒ぐ者、中には改造車を走らせて警察のお世話になっている者もいた。まさにお祭り状態の渋谷の喧騒に内心嫌気がさしていたがユッコが行きたいと言えばしょうがなかった。なんだかんだでいつも甘やかしてしまう自分にも多少の自己嫌悪を抱いている。

 杏奈はナンパをいなしながら少し遅れて約束のハチ公前に到着すると、ユッコがこちらに気づいたように手を振る。


「もぉ〜杏奈遅い! 待ちくたびれちゃったよ!」


「ごめんって……ナンパがウザくってさ。それに20〜30分くらい大目に見てよ」


「ムリ! あとでスタマ奢ってよね!」


 ハイハイと怒るユッコを軽くあしらって2人で渋谷の街を歩き出す。

 アニメキャラやナース、ポリスなど様々な仮装が埋め尽くす渋谷の街をスターマックス略してスタマのキャラメルラテを2人片手に歩き回る。勿論ナンパ目的で来ている輩も沢山いるため、唯でさえ普段からよく声をかけられるのに今日は50m進めば1人は声をかけられるんじゃないかと思う程高頻度で声をかけられていた。杏奈は心底面倒くさいと思っており、若干今日来たことを後悔していたが、ユッコの満足そうな顔を見ていると「仕方ないかぁ」とストローをすするのだった。


「……ろ……はじ……」


 すると、仮装する群衆に紛れてフードを被った男とすれ違う。顔はよく見えない無かったが何かブツブツと呟いているようだった。

 普段の杏奈ならばただのモブ同然と眼中にすら入らずにスルーするのだが、何故か杏奈はその男を目で追っていた。


「なぁに? 誰か気になる男でも見つかった?」


 それを見たユッコが杏奈の視線を追う。

 しかし人混みに紛れたのか男の姿は見えなくなっていた。


「いや……なんか……気になるっていうか……なんかヤバい気がする」


 杏奈はフードの男から不吉な予感を感じとっていた。杏奈は直感にはよく当たると評判があった。

 良い予感も悪い予感も全て何となく感じ取ることができ、運勝負は昔から得意だった杏奈は、どれ程の程度かまでは分からないが、確かに一瞬すれ違った者からは、悪い予感がしていた。


「ユッコ……今日はもう帰ろう」


「えぇ〜まだ全然遊んでないじゃん? もうちょっと遊んでこうよ折角来たんだからさ?」


 杏奈はユッコの手を取りその場を去ろうとするが当然ユッコは納得してくれなかった。

 所詮は予感でどれ程のものかも明確には分からない。大事件かも分からないが大したことでもない可能性もある。たかだか予感《《ごとき》》で急いで帰るのは勿体無いのだろう。


「じゃあせめてあっち行こう」


 とユッコの手を取り早歩きでそのまま真っすぐフードの男の来た方向を歩き、フードとの距離を離そうとした。しかしそれが失敗だったのかも知れない。


「キャアアアアア!!」


 先で響く女性の悲鳴。その直後、大勢の人達が大慌てでこちらになだれ込んで来る。

 人混みに流されそうになるが離れないように必死でユッコの手を握り、人の波を抜ける。その先では……


「ウ……ウアァ……」


 男性がフラフラと立っていおり、その足下では女性が倒れている。

 倒れている女性の首元からは血が流れ出し、男性は白目を向いてゾンビのような様子立っている状態だった。


 先程のように逃げて出す人間もいるようだが他にも現場の周りでは物好きなのか命知らずなのか若者達がスマホを構えて今の状況を撮影している。

 中にはハロウィンのパフォーマンスだと思っている者もいた。

 だが杏奈にはとてもパフォーマンスとは思えなかった。

 疑い深く観察していると、1人の若者の男がスマホを構えながら男に近づく。


「これなんかのイベント? ゾンビパーティー的な? 俺も咬まれたらゾンビになっちまうかも〜なんつって」


 ゲラゲラと笑いながらスマホカメラを構えて更に近づいたその瞬間


「ウオアァァァァ!!」


 男が勢いよく飛び掛かり、若者の腕に咬みついた。


「痛ってぇ! 何だコイツ!?」


 若者は突然襲われ、スマホを落とす。若者は男を剥がそうと頭を押し退けようとするが……


「何なんだよ!? 全然ビクともしねぇ!?」


 若者は必死に抵抗するが男にその力はまるで通用していないようだった。

 そうこうしているしている内に男は若者の腕を咬み千切る。若者の傷口は見るも無惨に赤黒く変色している。

 若者は傷口を見て青ざめた様子で逃げ出す。


 それを見て周りを囲んでいた人々も一斉に逃げ出す。当然杏奈とユッコも目の前に広がる非常事態に一目散に逃げ出した。


「早く! 駅に! 渋谷から逃げようユッコ!」


 ユッコも恐ろしいものを目にし只事ではない事を察したのかうんと頷き駅を目指して走り出す。しかしもう遅かった。


 駅前でも同様の事態が起こっており、駅には同じ考えを持った人々が殺到していた。


(ダメだ……コレじゃ電車も動かない……動いたとしても逃げられるのはいつ頃になるか……そんなに待ってたら多分アタシ達も助からない)


「そんな……杏奈どうしよう! 私達、助からないのかな!?」


「とにかく逃げよう! 走ってでも!」


 パニックに陥りそうなユッコの手を引いてとにかく遠くへ、渋谷からの脱出に走り出す。

 だが本当の恐怖はここからだった。


「杏奈……あれ……」


 ユッコが何かを指差す。指差す先を見てみると、遠くに青白い光の柱の様なものが1本空に向かって伸びており、その頂点を中心にドーム状に何かが広がっていく。


「なに……?あれ……?」


 杏奈にはあれが何なのか分からなかったが今はそんな事を気にしている暇は無い。

 とにかく走って逃げなければ……そう思い走る。杏奈は今何が起こっているのか確認する為、携帯を開く。幸い電波は通っており、SNSを確認する。すると信じ難い事が書かれていた。



 ――今渋谷の端にいるけど渋谷にドーム状の何かが広がったと思えば壁の様なものに阻まれて出られない! 誰か助けてくれ!

 #渋谷 #ハロウィン #SOS


 ――渋谷のハロウィンに来てるけど様子のおかしな連中が至る所で人に咬みつく事件が多発してる……駅も人が殺到して電車が動かない!

 #渋谷



 と様々な書き込みがされている。地下鉄も止まっているようで逃げ場が無い事を悟った杏奈は崩れ落ちる。


「ちょっと杏奈どうしたの! 早く逃げようよ! 杏奈が走ってでも逃げるって言ったんでしょ!」


 必死に腕を引っ張るユッコの声も杏奈には届かなかった。呆然と座り込む杏奈にユッコも焦りを隠しきれずにいた。

 更に畳み掛けるように新しい情報が更新される。



 ――咬まれた人達の様子が変だ!傷口から変色が広がっていったと思ったら。奴らと同じ様に人に襲いかかり始めた! 咬まれたら感染するぞ! 気をつけろ!

 #渋谷 #感染 #ハロウィン


 ――渋谷の感染者たちの身体能力は人間の域を超えてる!こんなの逃げられるわけねぇよ! 死を待つだけだ!もう終わりなんだ……

 #渋谷 #感染 #ハロウィン #SOS



 ユッコもSNSの書き込みを目にし絶望感から杏奈に抱きつき泣き出してしまう。


「杏奈……私達死んじゃうのかな……? 助からないのかな……? 私……怖いよ……嫌だよ……死にたくないよ……」


 隣で泣き出すユッコを見てハッと正気に戻った杏奈はユッコを必死に励ます。


「大丈夫、これだけの事態だったら警察もきっと動いてるよ。そしたら必ず救助が来る。大丈夫、それまで生き延びよう」


 都会の街並みは夜も明るく、ライトの光によって空を見上げてた所でちっとも星は見えないが雲1つない綺麗な空には似合わぬ悲鳴とうめき声が飛び交う渋谷の街で、少女は小さな希望を頼りに生きる為に逃げ続けるのだった。




ミニコーナー企画!


第一回! 「気になる!? あの子のプロフィール!」


どうもー! 皆大好き! 幽世のアイドル葉月お姉さんだよー!


今回の企画はね! この世界の登場人物に関する情報を公開していっちゃうよ!


え? 登場人物って何の? って? まぁまぁそう言うメタい話は置いといて早速本題に入っていくよ! 今回のプロフィール公開ゲストは〜こいつだ!


どうも、File1 「人を喰らう家」主人公、和泉心陽です。


1発目はやっぱり主人公じゃないとね! というわけで少年、自己紹介ヨロシク!


分かりましたよ葉月さん、ではコチラが俺のプロフィールになります。


デデンッ!



名前 和泉心陽 誕生日 7月12日


年齢(初登場時)16歳 血液型 A型 


身長 174cm 体重 68kg


好きな食べ物 たい焼き


嫌いな食べ物 里芋


親友 荒谷和真 苦手な人 特にいない


異能力 霊能力+神格憑依・死神


好きなこと 食べ歩き


嫌いなこと 霊能力のせいで霊が視える


ここだけの話 

実は空き家事件以降、特異現象捜査部の養成所で4年間を経て退寮後、1人暮らしを始めたが初日から葉月さんが住み着き始めて同居? 生活を送っている。



はい、ありがとうございましたー。少年の意外な趣味嗜好が知れて面白かったね? あとお姉さんとのラブラブ同居生活の事は黙ってて欲しかったナー?


何言ってるんですか。葉月さん死神だから食事取らなくても良いクセにご飯食べるせいで食費無駄に一人分多いんですけど?


いいじゃない! 私だって現世うつしよのご飯が恋しくなったりするんだから! ほら?その代わりお姉さんを好きにしていいんだゾ? チラッ


ハイソウデスネ。言っときますけど結構年離れてますからね? 正直キツいですよ葉月さん。


ぬわんだとぉ!? 私まだ25(享年)なんだけど!? しかも年取らない特典付きだから寧ろ優良物件なまであるんだからね!?


成る程そうですか、じゃあ考えときます。気が向いたらにしましょう。


気が向いたらは絶対に来ないって相場が決まってるんだけど……っとそろそろお時間が近づいて参りました! では今日はこの辺で、また次回!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ