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性的な逸脱行為はさらにひどくなる

体と心は切り離すことはできない。だから、体の欲望だけに走ると、心がきしみはじめる。

古代ギリシャの哲学者は、二元論を、真善美と知情意にわけて考えた。つまりは、現実のあちらがわの神がかった世界と、こちらがわのどろどろとした世界という事だ。だれかれ構わずセックスするようになってから、わたしは身体とこころを二元論的に切り離す試みをしたが、それは最後まで全くの無駄な努力だった。ぬくもりさえ感じさせてもらえさえすれば、ほんとうは、セックスなどしなくてもよかったのだ。わたしが求めていたのはただのやさしさだったのだ。フィジカルなものとしてのみ男性を求めてきたつもりだったが、わたしが本当に渇望してやまなかったのは、男性のこころだったのだ。いや、それ以上に、わたしは古代ギリシャの哲学者が追い求めてやまなかった知情意の世界の愛を求めていたのかもしれない。それを、身体やこころのレベルで追い求めたところで満たされるわけもなかったのだ。


 しだいに、わたしの精神は更なる異常をきたした。過呼吸の発作は何故かおさまったし、手足のチアノーゼも元通りになったが、こころはいつも魑魅魍魎として、わたしの首を絞め殺そうとした。男性の精神を求めている自分に気がつきながらも、わたしはセックスに対する依存を断ち切ることができなかった。不特定多数の男性と交わることが道徳に反することであることはわかっていたが、一度覚えてしまった快楽を忘れろといわれても無茶な相談だった。色んな男が色んな方法でわたしを気持ちよくしてくれる。その頃のわたしは、駅や構内ですれ違う男に対して、この男はどんな顔して女を抱くのだろうという類の妄想をはわせるようになっていった。


 ある、大学一年生の夏の晩、とんでもないことがわたしの身に降りかかった。いつもどおり、ネットの掲示板で知り合った男が迎えに来た車に乗って、居酒屋で食事をして酒を飲んでラブホテルに行ってセックスをする予定だった。ラブホテルのドアをくぐったところまでは覚えていたが、その後の記憶が全くないのが不思議だった。気がつくと、わたしは真っ白いシーツが敷かれた大きなベッドの上で、素っ裸にされたまま眠っていた。起き上がって探しても、男の姿はなかった。ここを出たいと思っても、取り残されたわたしにはホテル代を払うこともできなかった。自分がいったい、誰に何をされたのかと考えると怖くて鳥肌が立った。首を絞められたりしたのだろうか。それとも裸の写真を何枚も撮られたりしたのだろうか。考えれば考えるほど、恐ろしくて身震いした。


 怖いことといえばこんなこともあった。出会い系サイトの掲示板で知り合った男に会いに行くと、一人だと思っていた男性が実は五人だった。たくさんの男と一緒に友達のように遊びにいくだけだと思っていたわたしは、のんきなことに「海に行きたい」と言って勝手にはしゃいでいた。わたしは実際、彼らが乗ってきたフルスモークのワゴン車の中で、かわるがわるに輪姦された。別にこれまでだって不特定多数の男とやりまくっているのだから、気持ちよさ以外に感じるものなどなかったはずだった。しかし、これまで出会ってきた男達は、自分の安全の為にもきちんとゴムをつけてしてくれたのに、彼らはゴムをつけずに無理やり挿入してきた。きちんと避妊して欲しいと言ったが、何人もの男に押さえつけられてやられているので、抵抗もできなければ強くお願いすることもできなかった。「女の体の中ってあったけーなー」と誰かが言ったのが耳に残った。彼らは躊躇せず、わたしの体の中に直接なんどもなんども射精した。妊娠するのではないかと思うと、怖くて怖くてしかたなかった。次の生理がはじまるまでのあいだ、わたしのこころは気が気でなかった。


 わたしのこころのもやもやはついにわたしの首を絞め殺してしまった。自分が男遊びをしているだけなので、悲愴感などなにもないはずだった。わたしは売春島で売春しているオヤジとおなじで、男で遊んでいるだけだった。それなのに、切り離すことのできない身体とこころがいつしか悲しく悲鳴あげるようになっていったのだ。わたしは、誰かに求められることによって自分の価値を確認したかったのだろうか、それとも誰でもいいからやさしく抱きしめられたかっただけなのだろうか。こんなキチガイを抱きたがる男などいないと思ってはいたが、出会う男出会う男がわたしの体を欲しがった。男の股間に目を這わせると、たった今相手の目に自分の姿が映ったばかりなのに、既に固く勃起していた。わたしの病気に気がつく男もいたが、「おまえ、統合失調症ってヤツなんじゃないのか?」と言いながらも、最後の一滴までのこさず、搾り落とすようにわたしの胎内に射精した。

「死んだ魚には心がないから、自由に食べてもいいんだ」

文学青年風の男にセックスの後、こう言われたこともある。

「誰かの小説にこんな表現があったんだけどね、今のキミと重なるよ。世の中いい人ばかりじゃないんだから、本当に気をつけるんだよ。自分を大切にね」












女の人にも性欲はあるけど、結局は愛されたいとか大切にされたいとか、そういう精神的な欲求のほうが強くないですか? そこら辺を見誤ると痛い目に遭いますよ。※この作品はフィクションです。作者の想像力によって書いています。だって、本当のことをここに書いたらそっちのほうが恥ずかしいでしょ※

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