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そしてついに逸脱行為がはじまる

自分で自分を傷つけたい。そういう欲求が、ついに主人公を性的な逸脱行為へと導く。その先に幸せなんてあるわけないのに。

実家に帰る為に電車に乗ると、ズボンの中に手を入れてくる男がいた。手はみるみるうちにパンツの中にたどり着き、コリコリしたクリトリスをいじりだした。びくびくと体に電流が流れるような感覚がはしると、陰部たちまちぐっしょりと濡れた。びっくりして男の顔を見つめると、これまで見たこともない見事な美系だった。愛してなかったし愛せそうもなかったけど、生まれてはじめての相手がきれいどころだったら、それはそれに越したことはないと思った。電車に揺られながら、男は「かわいい」を連発した。「キミがかわいいから、もう自分のペニスはこんなにも固く勃起しちゃったよ」。電車を降りるとき、わたしは彼を自分から誘った。実は自分は処女なのだと正直に告白したが、男はそれを疑っているようだった。それもそうだろう。電車の中で陰部を触った女性が自分からベッドに誘ってきてさらに自分は処女だと主張したところできっと誰だって信用しない。


 生まれてはじめてラブホテルに入ると、男はさっそくわたしをベッドに押し倒した。はやく来て、我慢できないんでしょ? と思いながら、わたしはゆっくりと目を閉じる。はじめて抱かれた男のからだは、愛していないにもかかわらずとても温かくやさしかった。気持ちよさに、声をあげると男はゆっくりと挿入してきた。堅くて太いものがわたしの膣に差し込まれるとぴりっとした感覚が走り、血液が流れた。ああっ、と声を漏らすと、男はゆっくりと動かした。初対面でいきなり体を求めてきただけの男なのに、何故か始終愛おしそうにわたしに愛撫した。その姿を見て、胸が締め付けられるようにせつなくなった。    わたしはこんなにハンサムな男の人にこんなにも丁寧に抱かれている。気がつくと涙が流れていた。どうしてだかわからなかった。その瞬間、死にたいという思いが消えてどこかにいってしまった。痛みを感じはしたが、もっと強くしたから突き上げて、わたしを痛めつけるように激しく動かして欲しいと懇願した。男はそれに逆らってゆっくりとマイペースに腰を動かし続けた。この男は美系だけど、結局はわたしの性の玩具なのだろうか。名前も知らないし、どんな性格かもわからない。わかるのはわたしの体に入っている彼のペニスの感覚だけだ。何故、こころがつながっていないのに、こんなにも体は気持ちよがっているのだろう。

「何故泣くの?」

と、男はゆっくりとわたしの涙をぬぐった。

「みんなが、わたしをいじめるの」

「いじめる? みんながきみを? こんなにかわいいのに? 何故?」

「わからないわ。でも、みんないじわるなのよ」

「俺はきみを傷つけないよ」

男はわたしの肩を抱いたまま、駅まで送り届けた。

「これが俺の電話番号だから」

と渡された紙に、彼の名前と電話番号がかかれていた。

「キミと付き合いたい」

名前もどんな性格かもわからないのに、わたしと付き合いたいというその男の気持ちはよくわからなかった。男はわたしにとって単なるセックスマシーンで、オナニーの道具に過ぎなかった。だから、そのメモも電話番号も、すぐにゴミ箱に棄てた。これじゃ、男と女が逆じゃないかと、自分で自分につっこみを入れながら・・・。


 鏡を見ると、いつもより生気のある頬に赤みがさしていた。つくづく人間は動物だなと、思った。きゅうりやこけしでオナニーするより、人間の男のペニスの方がずっと気持ちいい。はじめてのセックスには、それくらいの感想しかもてなかった。しかし、これが、その後のわたしの逸脱行動のきっかけになったことも事実だった。


こうして、わたしはしだいにセックス依存症に陥っていった。自分でも、自分の行動が異常だということはわかっていたが、そこには男に犯されるという類のネクラなイメージは全くなかった。男はわたしにとってオナニーの道具でしかなかったのだ。相手が若い男なら誰だって構わないはずだったが、意外と男の外見にこだわる自分に驚いたりもした。自分の理想とあまりにもかけ離れた外見をした男性からは、食事をおごってもらう事はあっても、ベッドインすることはなかった。


 わたしのこころはいつも乾いていて、ナンパされるのを待つだけでは満たされることがなくなっていった。手っ取り早いからという理由で、躊躇なくわたしは出会い系サイトを利用するようになった。とりあえず、会って食事をしてセックスをするだけの男なのだから、誰だってよかったのだ。不思議な話だと思われるかもしれないが、わたしは男性には食事代以外のお金を要求しなかった。渇望した性欲と、満たされないこころさえ満足させてもらえるなら、それでよかった。


 もちろん、見知らぬ男に抱かれるのは怖かった。出会って食事をしてすぐにセックスにもちこむのだから、相手がどんなヤバイヤツかもわからない。それに、恋心を持っているわけでもなかったので、相手の体臭や汗に独特の気持ち悪さを感じ取ったりもした。しかし、ねっとりと温かく唇を重ね、乳首を吸われる頃にはいつも気持ち悪さは気持ちよさに変わっていった・・・。


 かたっぱしから好みの男性とセックスをしていくという暮らしをはじめてから一ヶ月くらいが経過すると、寝た男の数は三十八人になった。その三十八人目の男は、最近離婚したばかりでとにかく体もこころもわたしと同じように寂しい男だった。セックスの腕はさすがバツイチだけあって最高で、わたしはベッドの上で何度も失神した。それだけこの生活に慣れても、はじめてそのバツイチと寝る時は躊躇した。

「い・・・や・・・」

と、ホテルの部屋に入ることを拒むと、

「嫌じゃないだろ?」

と言って、バツイチは強引にわたしの手を引いた。部屋に入ってから、いつまでもドアのそばを離れないわたしを抱きかかえて、バツイチはベッドの上に運んだ。

最後の失神から目覚めると、わたしは無言でシャワールームに消えた。

「男みたいだぞ」

 と、バツイチはベッドの上で余韻にひたりながら言った。確かにわたしは男みたいだ。愛しているからセックスをするのではなく、気持ちよさだけを追及していたのだ。

 バツイチはわたしと過ごす為に一日だけ会社を休んだ。「母が病気なので今日は一日お休みします」と電話口で言うのを聞いて、こいつはとんでもない大嘘つきだな、と思った。翌朝、一人で食べるよりずっとおいしいトーストとコーヒーとゆで卵を食べた後、バツイチは、

「俺、離婚しちゃったけど、キミとだったらうまくやっていける気がするんだよ」

と言って、軽くキスをしてきた。もうやった後だったので、キスされて嫌だという気持ちはなかったが、なんで一回寝たくらいでわたしのことを愛せるのかが不思議でならなかった。なに言っているの? わたしはペニスさえついていれば相手が馬だろうが牛だろうが簡単に寝るような女なのよ? と真顔で言ってやろうかと思った。


 色んな男と寝るたびに、わたしはどんどん技術を身につけた。セックスに不慣れなわたしに面白がってフェラチオを教える男もいた。はじめて口に含むソレは海水のような味がして、人類が海から生まれたことを思い知らせた。





みなさん、愛のないセックスはだめですよ。女の人は特に! 自分の事を大事にできないと誰からも愛されないよ。※この作品はフィクションです。作者の想像力によって書いています。※

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