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竜の眠る場所  作者: 知花 紗采
4章 悲劇の地
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噛み合わない

 三人でやって来たのは冒険者ギルドの食堂だった。

 結局いつも通りなのだが、久しく三人でここで食べた覚えがない。少し新鮮な気もする。


「それで、調べ物の方はどうだ?」


 食べながら何気ない口調でドレークさんが訊ねた。

 二人には詳細は話していないものの、過去のことを調べていると伝えている。


「全然ですね……。手がかりが何もないんですよ。なぜかリーゼさんがいつから冒険者をやっているのかも謎のままですし……」

「そういえば、気にしたことなかったね。僕らが新人の頃には既にSランクだったし……」


 ん? リーゼさんの見た目的にはドレークさんたちよりも若いかと思っていたけど、リーゼさんのほうが先で、既にSだった……? ──え?


「え、リーゼさんって一体何歳なんですか?」

「女性の年齢を訊ねるのはちょっと……。でも僕たちの年齢から考えると四〇……ぐらい?」


 見えない! 絶対違うと思う‼

 でもゼインさんの証言ではそれぐらいの年齢ということになってしまうのか……。


「そういや、あの皇弟殿下も陛下とはかなり年が離れた弟って言われているが、それにしたって若すぎ、だよな? 皇子殿下より若いんじゃないか?」


 エルム殿下が皇弟だと知ったのは、今の家に連れて行かれた時だ。

 馬車の中で二人が教えてくれた。言われてみれば確かに若過ぎなような気がする。

 確か、現皇帝エイザム陛下の御年は今年で五五のはずだ。

 見た目通りの年齢なら三〇近くの差があるはずで、ここまで離れていると親子と言われても違和感がない。

 ドレークさんの意見ももっともだ。


「皇子殿下は今年二八だっけ? まああの見た目ならその可能性もあるかもだけど、先代の年齢を考えると流石にそれはないんじゃないかな……」


 なぜか謎が謎を呼んでいる。

 もしかして、触れてはいけないものに触れてしまったのだろうか……。

 気まずさから朝食を口の中に放り込んで黙ったのを誤魔化した。


「だよなあ……。まあなんだ、冒険者も極めれば不老にでもなるのかもしれないな」


 殿下とリーゼさんが同じパーティにいたのなら、殿下もSランク相当の実力があるのかもしれない。

 そんな現象は聞いたこともないが、そう考えたほうが下手に年齢を勘ぐるよりまだ納得がいく。


「あの、それについては私も気になっているんです」


 話に割って入ってきたのはサリュさんだ。

 現在、午前の業務が既に始まっている。

 こんなところにいて良いのだろうか?


「おい、お前、こんなところで油売る前にまともに仕事ができるようになれよ」


 ドレークさんが睨むようにして言った。

 サリュさんの度重なるミスの数々は未だ治っておらず、かなりご立腹であるのは仕方ないように思う。


「そんな事言わないでくださいよ。それにギルドに情報がないとなると、後は皇城預かりぐらいしか考えられません。それなら私に任せてください! これでも心当たりがあるんです!」


 厳格な管理が必要なものはすべて皇城の行政官が管理することになっている。

 【不死鳥】の状況も皇城預かりとなり、現状を知っているのは極限られた人間だけになっている。

 殿下とリーゼさんも同じような扱いになっているのではないか。サリュさんが言いたいのはそういうことだろう。


「信用ねえな。第一どうやって調べるつもりだよ。その心当たりとやらに真正面から聞くってか? Sランク冒険者の記録見せてくれって?」


 それは流石にまともに取り合ってもらえないだろう……。


「そんなことしませんよ! 冒険者のことなら叔父様に聞くのが早いですけど! 他にも方法はあ・り・ま・す!」

「そこまでムキにならなくても……」

「ムキにもなりますよ! だって、あの非の打ち所がない人の申請書もギルドにないんですよ⁉ 前、ギルマスの部屋に忍び込んで探そうとしたらものすごく怒られたし! 一体何が書かれているのか気になるじゃないですか!」


 そりゃ怒られるよ……。というかサリュさんも知らないんだ……。

 確かに冒険者登録時に書く申請書なら色々わかるかもしれないが、ギルドで見つからないともなると、結構危ないんじゃないだろうか。


「それは、なおのことまずいんじゃないかな……」


 ゼインさんがなだめたものの、サリュさんの興奮状態は収まらない。

 おかしな方向に突っ走らなければ良いのだが……。


「サリュさん、Sランクの認定権はギルドにはないですし、その時に回収されたんじゃないですか?」


 冒険者のランク認定は基本冒険者ギルドが皇族にお伺いを立てた上で行う。

 ただし、Sランクだけはギルドの関与はなく、皇族だけが認定できるようになっているのだ。

 Sランクだけは皇族の管理下にあったとしてもなんらおかしくはないだろう。


「そうかもしれないですけど……。でも、冒険者である以上、ギルドが何も知らないのはおかしいじゃないですか!」


 テーブルを大きく叩き、大股で去っていくサリュさん。

 周りからは不審な目が集まっているが、総じて何が起こったのかわからないからこちらを見たという感じだ。


 先程の衝撃で、テーブルの上にあったものはぐちゃぐちゃだ。

 もう少し食べておけばよかったな……。

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