いつまでもつづく夜も明け
夜には悲しみがたまるから
片耳にイヤホン入れて
『眠れる歴史』なんてはなしを
聴くこともなく
聴いているのだ
それは真っ暗な海をゆく
ちいさなヨットの儚さにも似て
眠りたいけれど
眠れそうだけど
眠れないまま
時が過ぎてゆく
まるで不眠のウイルスみたいにじんわりと
眠りに必要なものはなんだろう
あの時手が届かなかった
ちっぽけなシャボン玉だったりするのかな
ひとけの無い部屋は暗く
ただスマホの光だけが
きづけば唯一の世界のように光り
何時間待てば眠れるのか
もうわからなくなったころ
おそらくたぶんいくらかは
眠っていたんだろうな
ふと気がつくと
カーテン越しに世界がしらみ始めていた




