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黒い蝶  作者: フィオネ
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~プロローグ~

こんにちは、フィオネです。

小説を書くのは今回が初めてです。

誤字などおかしい表現があったらご指摘よろしくお願いします。

感想などもいただけると嬉しいです。

「いいかい。蝶ってのはな、いいことがあったり、幸せを感じたときは、羽の色がいつもよりキレイに見えるんだぞ。逆に悪いことがあったり、不幸を感じたときは羽の色がいつもよりキタナく見えるんだぞ。」

義理の父とも呼べる遭助おじさんが少女を公園の花畑に初めて連れてきたとき、ひらひらと飛んできた蝶を見て言った言葉だ。

今聞けばそんなの冗談だっていうぐらい分かる。

「蝶が気持ちで色を変えるわけないじゃん。」と思うだろう。

しかし、その当時まだ幼かった少女はその言葉を素直に受け取り、信じきってしまっていた。

それから少女は、自分の気持ちを蝶の状態、羽の色で無意識に表すようになった。

それはやがて、癖ともいえるものとなった。


始業式の日…

今高橋麗奈は、あともう少しで3学期をむかえることになる。

窓からは紅葉の美しい紅葉が完全に散ってしまった木々が見えた。

クラスメートには、あと少しで3年生だの、最高学年だのと心を踊らせている人もいれば、3年生になるのを嫌がっている人もいた。

少女は無論、後者の方だった。

3年生になる―それはつまり、先輩がいなくなってしまうことを表していた。

「おはよ―っ!!麗奈!!」

「おはよう。麗奈。」

などと、教室に入ったとき友達が麗奈を見るなりかけよってきた。

「おはよう。瞳、絵理。」

「どうしたの?今日は何か元気なさそう。体の調子でも悪いの?」

「そうだよ~いつもはもっと元気じゃん。」

「え~、そんなことないよ。」と麗奈は無理やり笑ってみせた。

「そっかな~」

「本当だってばぁ~。大丈夫だよ。ただ秋休み明けだから、体がなまっちゃってさ~」

「まぁ、確かに休み明けってなまるよねぇ。でも3学期で最後だし頑張らなきゃ!あっ、そうだ、あとでみんなでジュース買おうよ。」

「あっ、それ賛成!」

「いいよ、ちょうど喉が乾いちゃっててさ。」

二人となにげない話して、少し気分が晴れた。それに、瞳のポジティブ思考は相変わらずスゴイ。

(元気なさそう…か。確かにあまりいい気分じゃないな。)と思いながらフッと教室の隅の方を見た。1つの机だけ、鞄が置かれていなかった。彼女はまだ来ていない。

(美香…)

麗奈は心の中でつぶやいた。

「よっ、なんだ、元気ねーのか?もしかして3年生になるのイヤだなぁなんて思ってるとか?」

「!っ、そっそんなわけないでしょ!」と、とっさに答えた。

「何で、勇気が来るのよ!」

「何でって、お前をからかいに来ただけだよっ。麗奈はからかい甲斐があるからな。…別に、お前を心配してるとかそんなんじゃねぇぞっ!」別に聞いてもいないのに最後の所で顔が少し赤くなっていた。おかしくなって今度はこっちから攻めた。

「そんなこと言って、顔赤いよ。大丈夫~?熱でもあんのかしらねぇ。体温はかってあげようか?」

「いっ、いいよ!余計なお世話だっ。だいたいな、俺は風邪を引いたことないんだぜ。」

「別に遠慮しなくてもいいんだよぉ。…何よ、せっかくの女の子の気づかいをさ。」

「あぁもう!いいですよ―だっ。俺時矢のとこ行くから!」彼はめずらしく自分から引いた。思い通りの展開にならず、ヤケになっている。

「こういうとき、安藤がいればなぁ、お前の口を防ぐ事ができるのによっ!」

それから、「あっ」と勇気がつぶやく。

そして、

「…安藤のやつ、まだ来ないんだな。」と言った。

彼も彼なりに彼女を心配しているのだ。

「うん…。」麗奈は静かにうなずいた。

あの時のことは忘れようにも忘れられない。


ある日一匹の蝶が、ある花畑に行った。

そこは蝶にとって楽園…のはずだった。

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