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俺の幼馴染はちょっと変わった優等生  作者: ケイト


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近づく終焉

 

 前線から戻り、怪我も回復した後で先生の所に向った。

前線に居る間にテストの期間は過ぎてしまったが、先生は前線で俺が生き残る事は出来ない(むずかしい)と思っていたらしく、涙を流しながら俺を許してくれた。

 

「さてナーパム、次はきっと男同士の話になります」

 

職員控え室から出て、ミファがそう言った。

彼女の後ろから前方を見ると、セイメイが立っていた。

……めちゃくちゃ怒ってんじゃん。

魔力が吹き出てるんだけど……。

 

「親友に何も言わずに前線に行ったらしいな、ナーパム」

 

彼は俺を見た。

イラつきを隠さず、まっすぐ俺を見ている。

ミファは……俺の背中を押し自分でどうにかするように促す。

 

「……行ったらお前、ついてくるとか、行くの止めろって言いそうだったからさ」

 

「当たり前だろうが! お前にゃ言ってなかったが、俺は前線で一度死にかけてんだ、言いたくないがこの学科の学年2位のこの俺が死にかけるんだぞ、お前一人とか絶対に止めたね!」

 

セイメイでも死にかけたのか。

あの環境じゃ無理もない。

悪魔に殺されそうになったのか、精神的に追い詰められたのかは分からないけれど……あれは仕方ないと思う。

 

「……本当はお前を助けに行きたかった、でも母さんに止められて行けなかった……無事で良かった、助けに行けなくてごめん」

 

「俺が勝手にやった事だからさ、それに」

 

「ナーパムくーん!」

 

どこからやってきたのか、隣にパラ先輩がいた。

がっちりと抱きつかれていて、剥がせない。

 

「私に黙って前線に行くとか酷いよ、プンプン!」

 

「あの先輩、離れて下さい!」

 

「いやいや! パラは今生きて帰ってきたナーパム君をよしよししないとダメなんです」

 

パラ先輩の胸が左腕に押し当てられている。

漢として嫌な気持ちにはならない。

むしろ、このままでいたい。

でも……でも……。

 

「随分嬉しそうな顔をしてますね、ナーパム」

 

ミファが怒っている。

人前だから笑顔だけど、瞳に光がない!

俺はミファを受け入れた。

例え俺を騙していたとしても、操っていたとしても。

俺は、自分の意志でミファに好きだと告白した。


今やただの幼馴染じゃない、彼女はもう、俺の恋人だ。

恋人の前で他の女性に抱きつかれて喜ぶなんて……怒られれて当然!


「ミファちゃんも前線行ったんだよね! お疲れ様!」

 

「ありがとうございます」

 

「どうだった? 私が行った時は前線の悪魔って大抵数が多いザコばっかりだったんだけど、強そうなのいた?」

 

……あの蜘蛛の悪魔、確かにそこまで強い個体じゃなかった。

だがそれは俺が、ラエルさんから貰ったアメアの魔術を持っているからであって、普通の魔術師ならそうは言わないだろう。

パラ先輩は仮にも上級生だ、ふわふわしているがきっと様々な経験を積んできたんだろう。

 

「そこまで強い個体はいませんでしたね」

 

「そっかそっか! あ、ナーパムくんにはこれあげる、前線祝いと友達の印!」

 

パラ先輩が俺の手に握らせたのは、小さな布袋だった。

中身を見ようとしたが、魔術がかけられているのか、もしくは中身が出ないように固く結ばれているのかは分からないが開く事は出来ない。

……気持ちは嬉しい。

でも、先輩。

様々は経験を積んでいるであろう先輩にいいたい。

 

「ナーパム、私以外からのプレゼントは嬉しいですか?」


ミファの前で渡すのは止めてほしかったと。

これ以上怒らせるのはまずい。

このままだと、ご飯抜きは確実。

さらに洗濯は拒否される。

おまけに前線から戻ってから一人で眠れなくなってしまった俺の添い寝も拒否される……。

 

「そ、そうだ! 前線でルサンチマン先輩に会いましたよ」

 

「ふぇ、ルサンチマンちゃんが前線に?」

 

「はい、それで」

 

口が黒色の魔力が覆われた。

言葉が出ない。


「私以外の女性の話をする口は、閉じましょうね」

 

ミファはキレてしまった。


その後、ミファは先輩とセイメイに俺のと関係が変わった事を伝え、特に先輩には俺に近づくなと釘を差した。

先輩は落ち込んでいたが、セイメイはポカンとしつつ。

 

『お前ら、まだ付き合ってなかったのかよ』

 

そう言ってから、爆笑していた。



 こんな平和な日常は続かない。

学校を辞めようかと思ったが、姫様の許可がいるとかで簡単には辞められないし、さらに悪い事に……今日は学校に姫様が来ているからだ。

特別魔術科の生徒がホールに集められているし、俺の退学を認める為じゃなさそうだ。

 

その口から発せられる言葉が、確実に最悪な物だと簡単に予測できるように、隣にはライフさんとルサンチマン先輩、それに見慣れない少女がいた。

少女の魔力量は底が無い。

ミファよりも多い魔力を久しぶりに見た。

 

「自己紹介はいらないと思うので飛ばすわね、先日、ライフがVano・Diteの教会を複数見つけました」

 

ミファを攫った奴らだ。

俺は奴等を許さない。

 

「聞いた事が無い人もいるかもしれないけれど、とりあえず人の形をした悪魔達の教会だと思ってくれればいい、それを破壊する為君達特別魔術科の生徒にも戦ってもらう」

 

隣にいるミファが俺の手を握る。

俺も彼女の手を握り返す。

集められた生徒十数人を何人かのグループにまとめ、役割が与えられるらしい。

俺とミファ、そしてパラ先輩は偵察に当てられた。

教会を監視し、どこから破壊するのが効率的かを調べ上げ、敵の人数も把握しなければならない。

 

「前線で戦うだけが戦いじゃない! 情報収集も立派な戦い、気を引き締めてやってほしい! 実際に戦うのは知ってるとは思うけど、元勇者候補生ライフ、魔術師ルサンチマン、それからこのアーフェナラ・ルーフィンがやります」

 

生徒全員と、ライフさんが驚いている。


「まてまて姫様、ライフちゃんやルサンチマンはともかくアンタは戦っちゃダメだろ」

 

「さっきも話したでしょ、戦力が足りないの! 本当ならセクションやタリラを呼びたいけれど第六大陸の赤い月の対応で呼べないし、それに……」


姫様が少女を見た。

少女も姫様を見た。

少女は嫌そうな顔と睨むような目線をむける、それを見て姫様はため息をつく。

 

「あの子はタリラと同じ祝福を受けてしまった、だから戦わせられない」

 

「だとしてもだ、ライフちゃんはお前が戦うべきでは無いと思うぞ」

 

「言っておくけど私を可憐でか弱い姫だと思ったら大間違いだからね、こう見えてもタリラと同じ師匠の元で修行してたんだから!」

 

「……だから歪んでいるのか」

 

「うるさい! 自分にちゃん付けする奴がそれ言うな!」

 

俺達の知らない会話が繰り広げられる。

まあそれはどうでもいい、必要な事は教会を監視する事だけなんだが、少し厄介な教会らしい。

何でも、魔術師でなければ発見出来ないし入る事も出来ない、おまけに魔術や魔力を使った遠距離での観察もこちらの位置がバレてしまうらしく、魔術師でありながら魔力を一切使わずに観察する事が求められている。

非常に、面倒だ。

 

さらにさらに。

俺達三人が向かう先が凄まじい場所だった。

第四大陸北部の漆黒林。

悪魔は現れないが人が生活するには辛く、一時間もあの場所にいれば発狂してしまうだろう。


「大丈夫ですよナーパム、貴方は何もせず、ただ私に笑顔を見せてくれればそれで大丈夫です」


ミファの料理を食べられるだけ食べ、魔力を蓄えて翌日に備える事にした。


 


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