表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
厄災の姫と魔銃使いⅡ  作者: 星華 彩二魔
第二部 一章「知識の存在」
32/59

★【序章】

 アイルカーヌで【聖杯】の捜索を続けるクロトたち。

 新たな魔武器所有者たちとの対立、対話を重ね、新たな事象が……。


 アイルカーヌに出現した新たな街。

 消息不明となったメフィストフェレスの魔鋏に新たな契約者?

 王都でもてはやされる【歌姫】の正体は……。

 

 アイルカーヌに集う7人の契約者。7体の悪魔。

 彼らは各々の意志に従い行動する。

 敵か、味方か。定まらない関係。


 そして、エリーにも変化が。

 使い道のわからない魔女の力。魔女として、そして誰かのために、クロトのために何かできないか。教えるのは、誰よりも魔法に長けた存在。


 【厄災の姫と魔銃使い Ⅱ】 魔女の遺産編2 開幕

 

 

 ――時折、同じ夢を見る事がある。


 目を覚ませば忘れてしまうような、泡沫の夢。しかし、いざ夢で訪れれば、既視感のある光景でしかない。

 そこは延々の闇。暗い世界で、なにもない。

 なにもないが、――何かはある。

 自分などちっぽけでしかない、巨大なそれをいつも眺める。

 体が覚えている。

 触れてはいけない。亀裂の奥を覗いではいけない。

 歩みすぎれば、戻れないくらい引きずり込まれて、何もかも失ってしまう。

 その恐怖がある限り、自分はそれ以上踏み込むことをしなかった。

 だが、時折聞こえてくる。

 招く様な呼び声が。

 

 ――私を呼ぶ貴方は誰?

 ――どうして私を呼んでいるの?


 そう心で何度も呟いた。

 問いかければ、歩み寄ってしまうのと同じに感じたから。

 

 ――此処にいてはいけない。

 

 後退りする。その時、誰かがこちらをずっと見ている気配にようやく気付いた。

 思わず驚愕と振り向けば、そこには不自然なものが置かれていた。

 闇の中で、鮮明と映る白い席。円形のテーブルと、椅子。

 こんなものは初めてでしかない。初めてのものに困惑していれば、奥から、くすり、とほくそ笑む声が聞こえた。

 テーブルに置かれたティーカップが浮く。その席に、誰かはいた。

 

「――また此処に来てしまったのね。あまり頻繁になってくると、少し不安だわ」


 ()()の言葉に悪意というものは一切感じられない。

 そして、その存在を。――()()()は知っている。

 

「夢だと思うなら覚める時間よ。……()()()が待っているわ」


 少女は人差し指を向け、途端に視界がその場から遠のいてゆく。

 最後に見えた少女の瞳。

 それは鮮血とした……赤い瞳だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ