無限怠惰
??「…」
俺は彼女いない歴イコール年齢のはっきり言って無能の窓際リーマンだ。残念なことに名前は主人公、似つかわしくない。俺が1番思っている。
??「…向き合え」
どこからから、何かが、鳴っている?
??「…自身を愛せているか?」
持っているスマホから音が出ている?
??「スマホを見て何が得られた?」
「今は休みたい気分なんだ。」
気づいたら答えてた。幻聴とは、疲れすぎだな、やっぱりオールで漫画50巻ぶっ通しは無理があったか、
??「休み方はそれだけじゃない。」
まだ、土曜日なのに、休日なのにうるさいヤツだ。そもそも休日に休んで何が悪いんだ?
「だから休みたいんだ。」
??「そんなに休みたいなら寝たらどうだ?」
「偉そうに指図しやがって。お前は一日何が出来たんだ?」
答えは無い。
「寝た方が良いしれないが、お前の指図には従わない。」
??「相変わらずだな。」
「馬鹿にしやがって。」
??「誰か気になるかい?誰でしょう?言わないけど。とりあえず、このままだと君は後悔する」
何か、そいつの言った通りにした方が良いと思い、急に出てきて癪に障る野郎だと思いながら、今日はとりあえず寝ることにした。
あいつが誰なのか、漫画ばかり読んでいる俺の現状に心配している俺の中の俺か、はたまた未来からタイムスリップしてきた俺が語りかけてきたのか?
そんな妄想をしながら今日も漫画を読もうとしたが、全部無くなっていた。何でだ?
家中探した。血眼になって。ダイニング以外はゴミ屋敷だからゴミの下にでもあるだろう。そんなことを思いながら探したが見当たらない。
主人公は疲れ切った体をソファに沈め、再び聞こえる声に意識を集中させた。しかし、その声に対する反発心と怠惰は、深く根を張っていた。
「どうして変わる必要があるんだ?」
自分に問いかける。声は答えない。ただ、静かに耳元で響いているだけだ。どこか安心感すら覚えるその声に、俺は気づかぬうちに身をゆだね始めていた。
翌朝、目が覚めると、部屋は相変わらずのゴミ屋敷だった。漫画もどこにも見当たらない。主人公はため息をつき、スマホを手に取った。
「何かを変える努力なんて、結局無駄だったんだ…」
その言葉に、かすかに声が応えた気がした。
??「まだ、諦める時じゃない。」
「やり直せる?」
俺は自問するかのように繰り返したが、結局ただの空耳だと思い込むことにした。
時間は過ぎ、会社の窓際席で過ごす日々が続く。変わる勇気もなく、慣れ親しんだ怠惰な生活だけが俺の人生を支配していった。声は時折聞こえるが、次第に無視するのが習慣になった。
ある日、ふと気づくと、かつての同僚たちがそれぞれの道で成功している様子がSNSに流れてきた。俺は心のどこかで焦燥感を感じながらも、またソファに沈み込む。
「これでいいさ、自分らしくいられるなら。」
そうつぶやいた時、ふいに声が最後の言葉をささやいた。
??「情けないな。」
しかし、俺はその声も耳をふさいだ。
一体あの声は何だったのか、俺には永遠に分からなかった。ただ、怠惰がもたらした日々は、俺の心に深い影を落としたままだった。静かに、時が過ぎていった。
翌朝、目が覚めても、相変わらず部屋はゴミ屋敷のままだった。漫画も見つからない。探す気力すらなくなり、主人公はソファに沈み込む。スマホを握りしめ、何となくSNSを眺めると、同僚たちが次々と昇進し、家庭を築き、夢を叶えている投稿が目に飛び込んできた。
「まあ、そんな奴もいるよな。」
そうつぶやいて、またスマホを置く。「俺には関係ない」と、そう信じ込むことで何とか平静を保っていた。
しかし、その後の数日間、胸に小さな不安がくすぶり始める。同僚たちが成功を手にする一方、自分は窓際席で毎日をやり過ごすだけ。何も変わらない現実。ある日、上司が無言で机に置いていった「早期退職制度」の案内が、決定打のように降りかかった。
「え、俺が…?」
上司は何も言わず去っていく。周囲の同僚の視線がやけに冷たく感じられた。「なんだよ…俺だって頑張ってきたんだぞ。」そう呟くが、虚しさだけがこみ上げた。
家に帰ると、漫画も読まず、ソファに沈み込む。ゴミに囲まれた部屋がやけに狭く感じられる。ふとスマホの画面を見ると、支払い滞納の通知が並んでいた。家賃、電気、水道…。額を見るだけで頭が痛くなり、目をそらした。
かつて耳元で響いていた声も、今では聞こえない。ただ静寂だけが広がっている。
数週間後、部屋の電気が止まり、暗闇に沈む中で、主人公は膝を抱えて座っていた。手元には止められたスマホだけが残っている。唯一の希望だった漫画を買う余裕もなく、気づけば社会との繋がりも完全に断たれていた。
「…結局、何もできなかった。」
その言葉に応えるように、かすかに声が耳元で響いた気がした。
?る「これで良いのか?」
一瞬、身体が反応しそうになったが、主人公は力なく首を振る。「今さら遅いんだよ…」と自分に言い聞かせると、声は再び沈黙した。それきり、何も聞こえなくなった。
主人公の時間は加速的に崩壊していった。かつての職場も住む場所も失い、ゴミだらけの部屋は朽ち果てた。もはや誰も訪れることはなく、俺自身もその部屋から出ることはなかった。ある日、鏡の前に立つと、そこには生気を失ったものが映っていた。
「こんなはずじゃなかった。」
そう呟いたが、涙は出なかった。
時は無情に過ぎていき、主人公の姿はやがて誰の記憶にも残らない存在へと消え去った。
そして、体は自然に還るように苔に覆われ、内臓にはキノコが生え始めていた。暖かい日差しと小鳥のさえずりがその変化を包み込んでいる。
それから50年たった今、それは童話となり、負の象徴として話は引き継がれている。
「かわいそうだねー」
「ねー」
「そんなことより、鬼ごっこしよ!」
元気に走り回る子供たちに踏みつけられる大地の一部となった今、幸せを感じる。