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獄中生活万歳!

 仰々しく軍隊に囲まれながら連れてこられたのは、この街でも特に大きい白亜の城だ。


 中世の時代によく見かけそうな感じの代物で、スーパー○リオに出てきたお姫様の住んでいるのと同じ雰囲気の奴ね。


 正面の城門には警備兵となる鎧を着た兵士が二人立っていて、彼らは団長のスワンという男に敬礼すると、五、六メートルはありそうな城門を開けて俺たちを中に通した。


 白亜な見た目通り、中の廊下や壁に使われているのもまた大理石っぽい素材らしくピカピカで、大回廊らしく壁には一定間隔に設置されたランプと何処かの部屋に繋がっているっぽい扉がいくつも並ぶ。


 そのどれかの扉に入るのかと思えば、全ての扉を素通りして一番奥の左側にあった、人が一人通れるかどうかのサイズのこじんまりとした扉を団長は開けた。


 そこはどうやら地下に続く階段になっているようで、真っ暗な階段をずんずんと降りていき、やがてさっきまでの眩しいくらいに綺麗だった城の中とは思えないほど全部が石造り、それでいて天井に吊るされたランプの申し訳程度の明るさしかなく未だに暗い。


 団長が前にいて、俺たち四人が並び、その後ろにいつの間にか減っていた兵士が三人ほどついて石造りの廊下を真っすぐ進むと、正面にこれまたお決まりとも言えそうな鉄格子が見えて来た。


 どうやらここは地下牢のようで、呻き声やら呼吸音が僅かに聴こえるので先客も何人かいるらしい。


 匂いは思った以上に酷くはないが、じめっとしていて居心地は悪そうだ。床も何だか堅そうだしね。


 目の前の牢屋に着くと、そこからは道が左右に伸びていた。団長はちょっと迷って、右側の通路を選んで進んで行く。


 そして、最も奥まった牢屋の前で止まると、地下牢の扉をぎぃと開けた。


「入れ。無駄な抵抗はするな」


「それはフリか? お望みなら披露してもいいぞ?」


「……するなと言ったぞ」


「……ふん」


 俺はちょっとやってみたかった皮肉めいたやり取りを団長として、特に抵抗することなく牢屋の中に入った。


 A、Q、Kと続いて牢屋の中へと進み、全員がちゃんと奥まで入ったことを確認すると団長は牢屋の扉を閉めて鍵をかった。


「貴様らの処分が決まるまではここで過ごしてもらう。脱獄しようなどとは考えるなよ? すぐにでも極刑にしてやるからな。せいぜい大人しくしていろ」


 彼は言いたい事だけ言って、部下の兵士たちを連れて牢を後にした。


 がちゃんと向こうのドアがしっかりと閉まった音を確認すると、Kが「はあ~」と全身に入った力を脱力させるように崩れ落ちる。


「何なんだよ、急に。私たち、気付いたら街の中に居て、その三十分後には牢屋の中って。傭兵してたときですら、こんな酷い扱いを受けた事はないよ」


「確かに、私たちに罪はないかもしれないけれど、向こうからしたら突然現れた不審者よ? その事実を変えることはできないわ」


「でしたら、このまま処刑されてしまうのでしょうか? 今からでも檻を破壊して街の外へ逃亡した方が良いのでは?」


 Qの意見も一案としてはありかもしれないが、俺はまだその時ではないと思う。


「……いや、それは得策ではない。今は待つ」


「ジョーカー様……。よろしいのですか?」


「ああ」


 不安そうな顔をするQに、自分の意見の正当性を説く。


「霧が発生してから、騎士団が駆けつけるまでの時間が異常に早かった。恐らくだが、この事態の対応に慣れているのだろう。霧によってこの街に連れてこられたのは、過去に俺たちだけじゃないということだ」


「他にも生存者が? でも、有り得ない話じゃないわね」


「俺たちを拘束もせず、所持しているかもしれない武器すらも取り上げなかったのが証拠だ。あの男は大人しく待てと言った。ならば、今は大人しく待とう。彼らは、彼らの成すべきことをしたまで、咎めるのはお門違いだろうしな」


「なら、もしも死刑とかになったらどうするの?」


 K、その質問は愚問に等しいよ。


 俺はニヒルな笑みを浮かべて言った。


「決まっている。全力で、抵抗する」


 それを聞いて皆も納得したらしく、俺たちは大人しく待つという選択肢を取った。


 地下牢だし、外から日が差し込むわけでもないから時間を図ることは難しいけど、囚人用に配給が二回ある。非常食とかで出てきそうなカッチカチの硬いパン、しかも一つの牢屋に二つしかないため皆で分け合って食べることになる。


 だが、俺、A、Qは森での食料生活に慣れていたのと、Kは傭兵生活で身に着けたサバイバル術によってパン二つでも十分に生き残ることはできる。


 その分、お腹は空くけどね。飯が一回もないよりは全然マシだ。


 牢に入れられてから、たぶん三日くらい経ったと思う。


 とにかくやることがないので基本的には寝たり、魔力を練る練習をして時間を潰す訳なんだが、流石に退屈過ぎたので俺はある遊びを思いついて魔力でそれらを再現してみる。


「ねえ、ジョーカー。何をしてるの?」


「A、ちょっと見ていろ」


 俺が魔力で盤や駒を作り出していくと、QとKも興味津々そうにその様子を覗きに来た。


 やがて完成したのは、向こうの世界で俺がよく親父に付き合わされたボードゲーム。


「これは何?」


「チェスだ」


「ちぇす?」


「……って、何でしょうか?」


「面白いの? それ」


「さあな。だが、暇つぶしにはなるだろう」


 俺は彼女たちに駒の動かし方を説明しながら、前世のことを思い出していた。


 あいつら……って両親のことだけどね。テレビゲームは駄目、ラノベは駄目、アニメは駄目とかよく言っていたくせにさ、将棋とチェスは父親の趣味だからってやるのを許されていたんだよね。


 俺がそのことを指摘したことがあったんだけど、親父は「頭をよく使うからな、そんな俗物と一緒にするな」とか得意気に言ってたっけ。


 俺からすれば、俺のやりたいことを禁止するくせして自分たちはいいのかよって思っていたけど、文句を垂れるとすぐに拗ねるし機嫌が悪くなると面倒だから「はいはい」って付き合ってやってた。


 今だからこそ思う。


 親父がいなかったらチェスや将棋を知らなかったし、こうして暇つぶしにやろうとも考えつかなかったろう。


 元気にしてるかい、親父。今、俺は異世界であんたの好きだったゲームを布教しているよ? 凄いだろ?


 ルールの説明を終えると、三人ともうんうんと悩みだした。


「中々に難しいゲームだけど、戦略性があって面白そうね」


「これ、ジョーカー様が考えたのですか!?」


 Qの期待を込めた眼差しを受け、一瞬迷って言った。


「……まあな」


「うわぁ、素晴らしいです! 流石は、聡明な頭脳をお持ちのジョーカー様!」


 ごめんなさい、前世でチェスを開発したと思われるシャコブスさん!


「でも、なんか難しそう……。私、最初は見てるから三人でやってみてよ」


「よし、じゃあやるか」


「受けて立つわ」


「頑張りますね!」


 それから、俺とA、俺とQ、AとQの順番に対局を何週か進め、途中でKも入って来たので全員が順繰りに周るように組合せを考えてひたすら黙々と差し続けた。


 更に途中からは、彼女らも魔力制御の練習がしたいとのことで自分の駒を自分の魔力で用意し、常にそれを維持しながらゲームをし続けた。


 一日が経ち、三日が過ぎて、五日目を超えて、七日目辺りまで来た頃。


 俺も中々の強さだと思っていたけれど、この世界の住人は頭が柔らかいのかすぐに対応してきて強くなる。差し詰め、学習型のAIと戦っているような気分だった。


 そして、俺とA、QとKの対局が始まり、また黙々と盤上を変化させていく。


 それから小一時間程が過ぎ……。


「これで、チェックメイトだな」


 こんな時でもクール系強敵キャラを忘れず、しっかりと格好つけて駒を置いて宣言した。


「……負けたわ。もう少しだと思ったのに」


「残念だったな。まだまだ、搦め手には弱いようだ」


「そういう駒の使い方もあるっていうことを学んだわ。次はもっと上手くできる」


「チェックメイトです」


「ぎゃあああ!? 負けた!」


 Aへのアドバイスを終えた頃、向こうの対局も終わったらしい。負けがKが悔しそうに頭をごしごしと掻き、勝利したQがどや顔をかましていた。


 最初はあまりKは乗り気じゃなかったものの、やっぱりどれだけ興味が無くても勝負は勝負、負けたら悔しいし、勝ったら嬉しくなるよね。


「見ていましたか、ジョーカー様! これで百四十二戦七十一勝七十負け一引き分けです! 勝ち越しですよ! 勝ち越し!」


「今の対局に勝ってれば勝ち越してたのに……。悔しい!」


「因みに、私はジョーカー以外の全員には勝っているわよ」


「お姉ちゃんが強すぎるんです! でも、ジョーカー様は一回も負けていらっしゃいませんから凄いですよ!」


「俺はこのゲームを知っていたからな。当然だ」


 そもそも、前世から経験があるにも関わらず、冷や冷やとさせられる対局を疲労して見せた君たちの方が凄いって、素直に言ってあげられたら良かったんだけどね。


 残念、それをやるとキャラが崩れるからしないけど。


「よし、ならもう一局くらいやるか」


「今度は私がジョーカー様とやりたいです!」


「じゃあ、私はKをサンドバックにするわね」


「ちょっと? 私を弱者認定するのが早すぎるんじゃない? 次こそは勝つ!」


「……お前たち、何をしている?」


 とても低い冷めたような、また怒りが込められたような声が牢屋の外からしたので何事かと思えば、そこにはスワンと名乗った騎士団長の姿があった。


 とても渋い顔して、まるで異世界の生物でも見るみたいな痛々しい視線を向けて来る。


「何とは失礼な。俺たちはただ、ボードゲームに興じているだけだ。ここは退屈なのでな」


「……」


 「いや、そんなこと言われても」、みたいな目をされても困るけど。


 仕方ないじゃないか、だって暇だったんだから。


「用が無いなら俺たちは続きをするが、何か進展でもあったのか?」


 不服そうな騎士団長様だったけど、ごほんとわざとらしく咳払いをすると口を開いた。


「調査の結果、お前たちは霧の民だということが分かった。よって、お前たちを釈放する」


「そうか」


 霧の民とやらが何かは知らないが、釈放になったなら別に問題はない。


 俺たちが黙って立ち上がると、彼は牢屋の扉の鍵を開けてくれた。


「出ろ」


 彼の指示に従い全員が牢屋の外に出ると、彼は来た時と同じ道を辿って地上に位置する城内へと連れ出し、廊下の途中にあった扉の前で止まると、その部屋の扉を開いた。


「ついて来い」


 言われるままに部屋の中へと入ると、そこは調度品やら絵画やらが部屋を美しく魅せられる位置に適度に配置された部屋で、中央には談笑用なのか机を挟んでフカフカそうな長椅子が対面型式でセットされていた。


 スワンが椅子に腰かけて対面に座るように顎をしゃくって指示してきたので、俺たちは黙って彼の対面に腰を下ろした。


「まずは、君たちが霧の民とはいえ、こうして一週間以上もの間、地下牢に閉じ込めてしまった非礼を詫びよう。すまなかった」


 何の話をされるかと思えば、急に彼は仏頂面のおっさん顔を机と平行になるように下げて俺たちに謝罪した。


 何だ、藪から棒にと言いたくなったが、彼は騎士団長としてけじめをつけたいのだろう。


「構わぬ。騎士団長のスワンよ。貴殿はただ、己が役割を果たしたまで。役割を忠実にこなす者に罪はない」


 俺がそうであるように、自らの役柄を大切にする人間は嫌いじゃないし、むしろ好感を持てるまである。


 職務真っ当、実に結構。これからも、その精神を忘れないでほしいものだ。


「ジョーカーが責める気がないなら、私も言う事はないわ」


「私としては、ジョーカー様を閉じ込めたことに不満がないわけではありませんが……。ジョーカー様の仰ることが全てですから」


「私も、もうそこまで怒ってないよ。皆でゲームしたのは楽しかったし」


「……感謝する」


 彼は再び顔を上げると、何だか肩の荷が下りたみたいに少しだけ表情が柔らかくなったような気がした。


 さて、じゃあこっちも色々と聞かせてもらいますかね。


「それで、こちらからも質問をしたのだがいいか?」


「構わない。君たちにはその権利がある」


「そうか。なら、遠慮なく問おう。まず、霧の民というのは何だ?」


「霧の民とは、その名の通り突如現れた霧の中からやって来た者たちだ。彼らは霧が発生する森の中に居たというのだが、何かのきっかけで街にやってくるようだ。中には、霧の竜に遭遇したという者も居たな」


 なるほど、やはり俺たちだけがあの森から生還したわけじゃないんだな。


 あんな威厳の塊みたいななりをして、実は竜っていうのは割と気まぐれな生き物なのかもしれない。


「なるほど、ならば俺たちもまた霧の民で間違いないな。それで? 俺たちをこうして釈放して、後は自由にしろということか?」


「いや、霧の民たちには幾つか選択肢がある。それを与えるために、この場所に君たちを連れて来た」


「その選択肢とは?」


「一つ、我らがセントラル王国に属すること。民となり、国のために働く」


「セントラル王国か……。聞いた事がないな。地図か何かはないか?」


「持ってこさせよう」


 彼がパンパンと手を叩くと、待ってましたと言わんばかりにメイドらしき人が部屋に入って来てお辞儀をし、一本のスクロールを彼に手渡して出て行った。


 メイドだ、メイド! リアルメイドを目撃した!


 と、心の中で狂喜乱舞している間も彼は地図を広げた。


「ここがセントラル王国。今、君たちのいる王都リンブルドがここだ」


 彼が指したのは、地図の中央から少し右側に寄った場所。


 国内や周辺を見渡しても、森らしき場所は存在しない。


「俺たちがいた霧の森はどこにある?」


「君たちの居たのは恐らく、霧の竜ミスティアが支配する領域だ。そこは世界の果て、未開の領域にある。それがここだ」


 彼が指したのは地図の一番左下にある場所。


 そこの上には何かの文字で、何かが書かれている。


「すまないが、俺は文字が読めない。A,Q。文字は読めるか?」


「いえ、私たちに読み書きは無理よ」


「そもそも、学べるような環境がありませんでしたから」


「なら、私が教えてあげる。私、文字読めるし。これはね、未開地って読むんだ」


「なるほど」


 Kの補助を借りて、これが未開地という単語だということは理解した。


 というか、Kって文字読めたんだ。凄いな。


「文字は上官とやらに習ったのか?」


「うん、そうだね。知っておくと便利だからって。うーん、でもなあ……」


 Kは地図を一通り眺めて、怪訝そうな表情を浮かべた。


 何かあったのだろうか。


「この地図……。私が知ってるのと少し違う気がするんだよね。私たちのいるセントラル王国って、確か元は別の国があった気がするんだけど……」


「それは恐らく、旧ラドニア王国だろうな。この国が亜人共生国家となる前の話だ」


「ああ、そうそう! そんな名前だった! あれ? じゃあ、今ってその統合から何年経ったのさ?」


「何年か……。どうやらそちらの亜人のお嬢さんは数年単位で考えているようだが、残念ながら統合されたのは百二十年も前の話だ」


「百二十年!?」


 あまりのスケールの大きさに、Kが大声を上げた。


 俺だってそういう風に叫びたかったけどさ、キャラがあるから叫べないんだよ。


「霧の竜の話では、魔族とやらが人族と和解したのは遥か昔のことだと言っていた。それから、時代はどのように変化したんだ?」


「人族と魔族は交わり、やがてエルフや亜人などの種族を生み出し分岐した。だが、種族同士で見た目や文化が違えば、それだけで諍いも起きる。歴史は繰り返し、人族と魔族、エルフ、亜人という構図で世界は一度、戦乱の時代を迎えることになる。だが、当時の世界に名だたる七人の賢者たちが諍いを鎮め、種族同士での和解を成立させた。それが今から、大体二百から三百年前のことだ。それから世界は徐々に統合され、同時に、この世界の七種族から一人ずつ魔王と呼ばれる強大な力を持つ支配者が担い手として選ばれ、世界の秩序を保つようになった。ここ旧ラドニア王国も昔は人族のみしか住むことを許されなかったが、二百年前に人族の魔王となられた『エリュシオン』様の威光により亜人との共生国家に生まれ変わった。だから今日まで、世界もこの王都もはずっと平和続きた。騎士団の仕事も治安維持くらいで、本当に助かっている」


 ええと、待てよ。


 まず、七賢者なる賢人たちが世界に出現して世界を平和にして、それから七種族から一人ずつ魔王が選ばれて世界の秩序を保つようになったと。


 かなり話を省かれているせいで論理がごちゃごちゃになりそうだが、ということはだ。


 その七人の賢者たちそれぞれが、七種族それぞれを説得したと考えると答えは一つ。


「つまり、七種族それぞれから一人ずつ名乗り出たのが七賢者であり、彼らが魔王による秩序形成の大元というわけか」


「今の話でよく分かったな。そうだ。七賢者とは、この世界に存在する七種族から一人ずつ名乗り出た賢人たちだ。七種族とは、人族、エルフ、魔族、竜種、亜人、魔人族、そして妖精族。人族、魔族、竜種は大元の種族で、人族と魔族の間に産まれたのが魔人族、エルフは魔族と竜種の間に産まれ、亜人は人族と竜種の間、妖精族はエルフと亜人の間に産まれたと言い伝えられている」


「なるほど」


「竜種、交わり過ぎじゃない?」


「一緒に住めないとか言っていて、結局は一緒になるなんてとんだ寂しがり屋ね」


「じゃあ、私たちはあの霧の竜の子孫かもしれないってことですか? それは、何だかちょっと……」


「それを言うなら、私だってそうだよ。血縁が遠いとはいえ、子孫を殺そうとするなんてとんだお騒がせ野郎だったね」


 聞いていないからってぶつくさ文句を垂れるが、その気持ちは分からないでもない。


 だって、俺も思ったもん。竜種、交わり過ぎじゃないって。


 思考レベルがKと同じか、ちょっと凹む。


「はっ!? 誰か、何か失礼なこと考えなかった?」


「気のせいだろう」


 うん、気のせいだ。


 彼女の野生の勘は当たっているが、外していることにしておこう。


「なるほど、つまり今の平和は七人の魔王たちによって保たれているというわけか」


「そうなるな。まあ、その中でも一人だけ困った魔王様がいるんだが、今は置いておこう。話すべきはそこではなく、君たちがこれからどうするかだ」


 いや、俺的にはそこめっちゃ気になる。


 これからの主人公プレイを楽しめそうな要素が詰まってそうな気配がするし、知りたいんだけど……。


 確かに、この後の生活をどうするかはかなり問題になってくる。


 Kの視点から見ても、彼女の時代から百二十年も経過しているとなると、色々と都合も変わって来るだろう。


 第一に無一文だし、文字も読めないし、身分証みたいなのもないし、住むところもなければ職もなく、文字通り異世界の地で助けてくれるような知り合いがいるわけでもない。


「確かに、そうだな。今の話を聞いている限り、俺たちはこの時代の人間ではない。残念ながら頼れるような人間もいないし、当然、住む場所も金もない。これらの問題を解決しない限りは、その先の冒険は難しそうだ」


 住む場所に関しては、放浪の旅ってことにすれば宿屋とか、野宿でもどうにかなるかもしれない。


 しかし、そのためには路銀がやはり必要になるし、異世界の地で孤高の狼集団をするわけにもいかないだろう。


 クール強敵キャラにだって仲間がいれば、頼れる友人もいるものだ。知り合いというのは多いに越したことはない。


「それなんだがな、お金を稼ぐ方法はあるぞ。ついでに、身分証明証を発行できる良い場所が。俺の紹介なら、君たちを助けてくれるだろう」


「ほう? その場所とは?」


「冒険者ギルド。常に人手不足で困っている、何でも屋のことだ。そして、これが二つ目の選択肢でもある。ギルドに所属し、世界各地を旅する者になること」


 その言葉を聞いた瞬間、俺の心の中は再び狂喜乱舞の嵐で荒れ狂う。


 冒険者ギルド! 来たああああああああ!

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