marble (碧 act2) 2
「朔さん、忙しいでしょ」
「忙しいからこそお茶したいの。はい、これ書類」
朔さんに言われるがままに被害届を書き進める。たぶん10分ぐらいで書類は書き終えられたと思う。
「うん、これでよし。碧ちゃん、1階のロビーで待っててくれる?」
「でも朔さん仕事中じゃ…」
「俺もう上がりなの。じゃあ、ロビーでね」
私の記入した書類を手に取り、慌ただしく去っていく朔さん。嵐のような人だな。
トートバッグを肩に掛け、ゆっくりと階段を降りる。常に人が出入りしている。警察官もまた、決して退屈しない仕事のひとつであるのは間違いない。
「お待たせ!さあ、行こうか」
「朔さん…早いですね」
待ったといっても、たぶん5分くらいだ。
「お茶というより、晩メシの時間だな。碧ちゃん、お腹空いてる?」
「そういえば…そんな時間ですね」
「よし!俺焼肉食いたい」
「え」
「焼肉、梨愛ともよく行くんだろ?車出すから早く行こう。俺、もう焼肉の口なんだよ」
強引に手首を掴まれ、でも痛くない。警察署の駐車場の中を横切っていくと竹刀がぶつかり合う音がした。
「そこ、武道場なんだ」
上を向いて不思議そうにしていたのが伝わっていたのか。
「警察官になるには剣道か柔道やらないとって話ありますもんね」
「そう。おれは剣道派」
朔さんの上半身は服の上からでも胸筋と背筋が分厚いであろうことがよくわかる、所謂ガッシリとした体型だ。柔道派かと思っていたけど、違うのね。




