表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/288

Prologue 2


山吹英(やまぶきはな)とは中1のとき、同じクラスだった。気が優しく、可愛らしい子だ。クラスのカーストの上にいると思い込んでいる、残念な図々しい女子達とは上手に距離を置く、世渡り上手な面があった。私はそんな英を羨ましく思った事がある。


「英…?」

澄麗(すみれ)、久しぶり」

英は1つ隣のドア近くに座っていたらしい。

「折角座ってたのに」

「そんなに長くはならないでしょ。…本屋さん?」

斜め掛けのショルダーバッグには私の購入した本は入らなかったのだ。

「ん。紀伊國屋行ってた。英は?どっかお出かけ?」

英の手には華奢な女子御用達ブランドのショッピングバッグがあった。

「買い物。しばらく忙しくて。久しぶりに服買ったんだ」

「いいじゃん。私最近服買ってないかも…。本屋行ったついでに地下街ぶらついたけどピンと来なくて」

「あるよね。服は沢山あるのに欲しいやつが1着も無いってやつ」

「そう。今日それだった」


久しぶりの再会。話に花が咲く。しばらく英と立ち話をしていたけど、電車が動く気配は一向に無い。


「──長いね。英、やっぱり座ってれば良かったのに」

「うん、長い。でも、澄麗と喋ってる方が楽しかったからいい」

「え、私を口説いてんの英さん?」

「私、口説くの上手いから」

軽口を叩いても尚、電車が動く気配は無い。苛ついた乗客の視線を感じて、私達は声を落とした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ