露見 6
「俺は──胸の張れないことはしないで生きてきたつもりだった。それでも現実は、こうだ。だから英」
嫌だ。言わないで。
「俺は英に相応しく無い。警察にマークされるような男と、一緒にいてはいけない」
「と、時緒は……何も、悪いこと、してないじゃない。充さんをほっとけなかっただけじゃない」
目頭が熱くなる。時緒の姿が涙で滲む。
「時緒は、充さんを助けようとしただけじゃない……!それなのに……」
それ以上は言葉にならなかった。涙がどんどん溢れて止まらない。
「私、離れないから。時緒は何にも悪いことしてない!困ってる充さんを助けようとした時緒とどうして離れなきゃいけないのよ……!」
「英、俺だって離れたくないけど。でも、このままではいけない」
「離れない!離れないよ⁉︎時緒の側にいる!頼まれたって離れるなんて絶対嫌!嫌あっ‼︎」
泣き崩れた私を時緒がそっと私を包んだ。時緒の背中に手を回してしがみついた。
「私、時緒が大好き。困ってる充さんを放っておけない時緒が大好き。私のことを考えて離れようとしちゃうお人好しの時緒が大好き。でもっ……離れてなんかやらないから。私も一緒に時緒と悩む。お願い、悩ませて。一緒に考えさせて。お願い……‼︎」
長い時間、時緒は私の頭を、背中を撫でてくれていた。泣き喚く小さな子どもを宥めるように、ずっと。