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熱 4


修学旅行のしおりの原案がやっと出来上がった。イラストは子どもたちが上手に描いてくれた。自分も描きたかったのが本音っていうのは内緒。


子どもに花を持たせる、それが私達の役割。私がいくら本気の絵を、イラストを描いたとしても、注目されたり褒めてもらえたりなんてこの仕事では滅多に無い。


初任の頃は図工の作品の見本を気合いを入れて作っていた。でも心無い声ってどうしても聞こえてしまう。


「そんなに自分が上手いって見せたいの?」という陰口が授業参観で聞こえてきたときには血の気が引いた。図工の見本、毎回子どもたちは目を輝かせて見ていてくれてたのに。


怖くなって見本を作るのをやめた。作らないなら作らないで「手抜きだ」と言われる。じゃあ私は一体どうしたらいいの?


この富士見小の子どもたちは、年齢相応のトラブルはそれなりにあるけれど、基本的には気の良い子たちだ。悩みの種は、保護者対応。文句言うくせに提出書類は出さない、給食費は払わない、授業参観には来ない。そんな類の保護者はこの学校の各クラス2〜3人はいて当たり前だった。


モンスターペアレント。略してモンペ。先日の澄麗の、モンペの電話対応は鮮やかだった。随分と慣れていた様子だった。聞けば、前任校の保護者対応でだいぶ苦労したことがあったらしい。「あの親に比べれば、今回のは可愛いものだよ」と微笑む澄麗の顔を見て、尊敬の念よりも先に背筋が冷えたのは澄麗には内緒。

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