HYPNOTIC POISON [ヒプノティックプワゾン]2
「そっか。でも、良かったんじゃないか?」
「良かった…?」
私はこんなに大混乱なのに?そりゃ、満紘に取っては他人事なのかもしれないけれど。
彼は私の顔を見てふっと笑った。
「何よ。他人事だと思って……って!何?」
おもむろにほっぺをつねられ、満紘を見上げて睨む。
「ちょっ、何⁉︎やめれよ!」
両頬をムニっとつねる彼は飄々としていた。
「ねぇ、何?痛いんだけど」
実際は大して痛くない。でも喋りづらいから抵抗はする。
「どっちも、大好きなんだろ?」
「え…」
碧は、大好き。朔は。大好きと言うのは癪だけど。家族なんだから大事ではないとは言わない。
「どっちも大好きで、信頼できる2人なんだろ。どちらも人間性は問題無い。そうだろ?」
「う…ん…」
何だろう。満紘の言うとおりなんだけど。諭されてる感じが何だか納得いかない。って言うと年下扱いするなって怒られそうだけど。
「信頼できる、大好きな2人がくっついた。複雑な気分になるのは分かるし、すぐには受け止めきれないのかもしれない。でも少しずつ受け入れていけばいんでないか?」
「うん…」
返す言葉が無い。ええ、正論ですよ、満紘の言ってることは。でもね、受け入れるってなかなかハードルが高くて…。
「納得いってねえ顔だな」
不敵に笑ったと思ったその刹那、脇腹を突かれた。
「えっ⁉︎何⁉︎……ちょ、やめ、……あはははっ、ねえ、やめて」