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打破 2

 

すっ……とまた目を逸らされた。あからさまに目を逸らされることにも、最近慣れてきてしまった。営業スマイルを保つ私のメンタルも、あと少しでどうにかなりそう。碧に泣きつこうかな。


「──で、何?」

「冷たいなあ。俺泣いちゃうよ」

「泣けばよろし」

「うえーん」

「ねえ、何か用事があったんだよね?」

テストの採点真っ最中に声を掛けられ集中を削がれた私は若干機嫌が悪い。顔には出さないけどね。


「俺腹減っちゃってさ。ラーメン行かね?」

「私お腹空いてない」

「ラーメン屋行けば腹減るって」

「何その論理。私、今日中にこのテストの山やっつけたいの」

「奇遇だねえ。俺もテストの山と格闘中」

「じゃあ大人しく戻んなさいよ」

「この闘いが終わったらラーメン行こうぜ」

「はあ……」

これ見よがしに大きなため息をついてやった。冷たい視線とともに。であるにも関わらず、「よし、決まりな」と沢田先生は機嫌良く自席に戻って行った。


視界の隅で、九条くんはずっと顔を上げずに仕事に集中していた、と思う。




……今日は沢田先生との会話に乱入してくれないのね。


前は必ず乱入していた。二人きりで仲良くなんかさせない、とでもいうように。もう、前みたいに仲良く話すことはできないのかな。


理由はわからないまま、九条くんにあからさまに避けられていた私は、それ以上傷つくのが怖かった。その結果、私も九条くんとの関わりを極力減らすように心掛けるようになってしまった。

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