表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
137/288

疑惑 8


「ねぇ、ご飯まだ?」

「もうちょっと…ねぇ、それじゃ作業が…できないん、だけど…」

包丁を扱ってるときのバックハグは本当に困る。時緒はわざと気配を消して近づいてくる。急に後ろから抱きすくめられて指を包丁で切りそうになったことがある。



「待てないから英食べていい?」

「時緒…何度も言ってるけど、包丁持ってるときに後ろから来られるのは」

「嫌じゃないだろ?」


嫌じゃないです。はい。時緒のバックハグ、大好きです。言わないけど。


「でも危ないから」

「じゃあやめようかな」

「……やめるの?」

「やっぱされたいんじゃん」

「黙秘で」



碧が教えてくれた話をしたら、この幸せな時間が終わってしまうのかな?


肝心なことを話せないのは私達の弱さだ。私の弱さであり、時緒の弱さでもある。


時緒が話してくれるのを待つべき?でも今もきっと彼はひとりで抱えて苦しんでいるのかもしれない。


私に話すことで、重たい荷物を下ろすことにならないだろうか?それが出来ないのなら、私が一緒にいる意味って何?私が時緒に再会した意味は?また付き合えるようになったことに、必ず意味はあるはずだ。



「ねぇ時緒」

「ん?」

「ご飯食べたら、話したい事があるの」

「何?今じゃだめなん?」

「ご飯食べてからの方が…」

「気になるじゃん。今どうぞ?」

どうぞと言われても…。ご飯前に私達史上最大に重たい話をすることに、私は迷っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ