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疑惑 7


「──え?」

聞き間違いかと思った。

「碧、もう一回、言ってくれる?」


沈み気味の表情の碧はもう一度、くり返した。



「朔さんが、時緒さんを……調べてるみたい、なの」

「ど、ういう…こ、と…?」

そのまま碧は口をつぐんだ。やめてよ碧。そんな辛そうな表情しないで。


碧は先日、私達の勤務する動物園に行ったこと。その日は朔さんと一緒に、デートとして行ったこと。朔さんは通路に出ていた時緒に名前を尋ねていたということを教えてくれた。


「どうして名前を尋ねていたのか…理由を、聞こうと思ったんだけど…。でも、その、何というか…」

申し訳なさそうに碧は続ける。

「仕事用の顔というか、ピリッとしていたというか。簡単に聞いちゃいけない気がして」


いやそこは聞こうよ。聞いて欲しかったよ。その言葉が喉元まで出かかった。


「この話自体、英に話すべきかどうかも迷ったの。ただ名前を訊かれていただけなんだし」

「でも訊いていたのは、刑事さんの顔をした朔さん」

「そうなの。このままスルーしちゃいけない気がして。英に黙っておくのもいけない気がして」


「……話してくれて、ありがとう」

「ごめんね、私にわかるのはこれだけで。これ以上は」

これ以上のことがわからないなら教えないでくれた方が正直良かった。何も知らない方が幸せだった。



『自首する』


時緒のスマホに表示された文字が突如浮かぶ。



ううん、何も知らないままではいけない。

やっぱり、時緒とちゃんと話さなきゃ。

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