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「探偵マンガの小学生みたいなこと言わないで」

「出掛ける先々で人死んでますからね」

くすくす笑うと、朔さんも白い歯を見せて笑った。


「あの子は一度、お祓いしてもらった方がいいな」

「お祓いに効果あったらマンガ終わっちゃいますよ」





「──ね、朔さん。入りませんか?」

さっきから、すれ違う親子連れから迷惑そうな視線を感じていた。土曜日の動物園は午前中とはいえ混雑している。


「ああ、つい話し込んじゃったな。入ろうか」


差し出されたその手を、そっと取った。あっという間に指を絡められて動揺しているなんてどうかしている。私、もう26なんだけど。顔に出てないよね?




「あれ、ですかね?」

「うーん…遠くていまいちわからないな。写真撮って拡大してみるか」

初夏から夏に変わりゆく動物園内は陽射しが強い。ゴリラ舎と呼ばれる白い建物内の通路は涼しくて快適だった。


朔さんがスマホでシャバナっぽいゴリラを撮る。拡大した画面を覗き込む。

「うーん…シャバナって言われれば、そうかな…ってぐらい、ですね」

「ちょっと決め手にかけるな…」


顔が、近い。一つのスマホの画面を二人で覗き込んだらそりゃ近くなるものだけど。これじゃ澄麗と九条先生の距離感だ。澄麗もこんな緊張感を味わっていたのだろうか。


自分の動きがぎこちなくなってるのがわかる。私、普段どうやって顔を上げてたんだっけ…?顔を上げるにも、ぎぎぎと音を立てているように思えるのはもはや幻聴?

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