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Shalimar 5


顔を、上げられない。顔を上げる、勇気が無い。それでも満紘の顔が見たくて、そっと目線を上げた。



ばちっと目が合った。満紘の顔が近づく。


顔に力が入ったまま、唇が重なった。満紘の唇は柔らかい。力、抜かなきゃ…。初めてキスをする中学生じゃないんだから。


どうしても力が抜けられない。角度を変えてキスを降らせる満紘の余裕が悔しい。


「──梨愛?力抜いて」


戸惑いながらも顔を少し上げた。自然と顔を満紘の唇に近づける。


唇がそっと触れ合う。心臓がドキドキして、どうにかなりそう。唇を交わしている相手は私のよく知る満紘なのに。知らない男性に翻弄されているような心細さがあった。


「梨愛、大丈夫だから。もっと力抜いて」

耳元で注がれる、満紘の吐息と低音に、私はもうどうにかなってしまいそう。


「ね、満紘、だよね…?」

「え?どういうこと?」

「満紘のはずなのに…。違う知らない人としてるみたい…」

「梨愛の知らない間に、俺も男になってたの。俺の男の部分、これから知っていけばいい」

口角を上げた満紘は再び唇を重ねた。段々と深くなっていく口づけに、頭の中はとうに蕩けていた。


おずおずと満紘の背中に腕を回した。視界が反転する。


「満紘…?」

「ごめん、我慢できない」


性急に脚先のパンプスを脱がされ、部屋の中に進んだ。ベッドにそっと下ろされると、また深い口づけが始まった。無意識に満紘の首に腕を絡めた。


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