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銀河帝国皇帝アスカ様、悪虐帝と呼ばれ潔く死を遂げるも、森の精霊に転生したので、ちょっとはのんびりスローに生きてみたい  作者: MITT
第二章「アスカ様の覇権国家建国道」

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第二十一話「アスカ様のスローなライフ」③

 もっとも、周辺国家との緊張は間違いなく高まりつつあるようだった。


 なにせ、貴族とその軍を粉砕して、事実上都市国家一つを乗っ取ってしまったのだからな。

 従来の価値観ではありえないような出来事で、恐らく新手の侵略者か何かにしか思われていないだろう。


 まぁ、実際……ある意味侵略者なのだがな。

 

 そして、何よりも人と金と物がこのシュバリエに集中する流れを作りつつあるのだ。


 必然的に、それらを吸収され、お母様の恩恵を受けられない周辺都市国家は、坂道を転げ落ちるように没落していくだろう。


 黙って没落するほど、向こうもバカではないから、そのうち徒党を組んで攻めてくる。

 まぁ、これは当然の流れだろう。


 これまでは、台頭する勢力が出てくると、寄ってたかって踏み潰すことで、均衡を保つと言うシステムが出来上がっていたようだったが。


 残念ながら、そうはいかん。

 我々の軍事力は、突出して技術力がおかしいレベルで、更にそれを進化させようとしてるのだからな。


 なにぶん、私は宇宙時代に至るまでの戦争の歴史を知っていて、兵器の進化ツリーやあらゆる戦争で用いられた様々な戦術も熟知しているのだ。

 

 このヴィルデフラウ文明と言う文明は、播種船と指導者個体を中心に発展を遂げる徹底した中央集権体制によるスター式文明と言える文明形式のようなのだ。


 中心が崩れると、ヴィルゼット達のように滅亡まっしぐらなのだが。


 末端の民に対し、高度な知識や教養を与えずとも問題なく機能するようになっているし、寿命が極端に長い事で、技術の維持進歩の手間が銀河人類の比ではないのだ。

 

 その最大の利点は、中央が高度な技術などを蓄積するだけで、文明全体が急激に高度化する事にある……恐らく銀河人類の1000年の進歩を、百年、数十年程度に短縮することも出来るだろう。


 なにせ、その進歩を私は知っているのだからな。

 お母様にとっては、答え合わせが済んでいるようなものだから、私の知る知識や技術を我流で再現しつつ、急速に進化していく。


 惑星文明を侵略同化する想定で考えると、間違いなく人類種の文明より遥か上を行っている。

 本当に、ヴィルデフラウ文明と今の今まで人類種が遭遇しなかったのは、僥倖としか思えない恐るべき文明だった。


 もっとも、ヴィルデフラウ文明も割りと行き当たりばったりな所があり、これまでお母様も幾度となく私同様のアドミニストレータ権限を持つ個体を産み出し、この惑星を最適化しようとしていたようだったのだが。


 アドミニストレータ個体を現住民の知識を吸収する形で育成しようとした結果、箸にも棒にもかからない個体ばかりとなり、原住民の身勝手さに振り回され、炎の精霊のような他の勢力との生存競争にも敗れつつありと割りと散々だったようなのだ。


 だが、星間文明……それも銀河の覇権国家銀河帝国の皇帝たるこの私がアドミニストレータ権限を手に入れた以上は、今までのようにはいかない。

 

 私は最終的に、この惑星からお母様の脅威を無くし、ラースシンドロームの原因でもある炎の精霊を尽く殲滅し、すべての民を宇宙へと導くつもりだった。


 それが私の戦略目標であり、可能ならば、あの銀河へと舞い戻る……。 

 その目的に立ちはだかり、喧嘩を売ってくるなら、むしろ望むところ。


 実際、近隣の貴族の元締めだったバーソロミュー伯爵とやらが、討伐の呼びかけをしているらしく、近隣諸国も徴用兵の動員を開始しているようだった。

 もっとも、案の定動員率が悪くなんとも雲行きが怪しいようだった。


 なにせ、現在こちらで編成中の軍勢も何故か近隣の元徴用兵とか、そう言う手合が多くてなぁ。

 その多くが盗賊をやっていたり、スラムでくすぶってたとかそんなのばかり。


 要は、向こうの予備役をせっせとかき集めてしまっているようなのだ。


 徴用兵の制度は男爵が考えたのかと思っていたら、近隣の国々の共通の流れだったようで、案の定、その欠陥を露呈していた。


 元ならず者やスラムの住人でも、ちゃんと仕事と食事を与えて、寝床も用意して給金も払ってやれば、戦力になるし、リストラにあった兵士達は元雇い主に対して恨みつらみも募らせていて、やる気も十分だった。


 もちろん、悪しき意図を持つものや生粋の悪党もたまに混ざってくるのだが。


 そこは、植物経由での表層意識の読み取りなどで、悪人と更生の余地のある者はきっちり分別できているのでな。


 悪人については、その罪を認めて、情状酌量の余地があるようであれば、強制労働の刑に服していただいているので、それなりに役には立っている。


 なお、強制労働と言ってもちゃんと三食食わせているし、強制労働者用の宿舎なども用意しているので、自由がない以外はちゃんと平等に扱っているので、あんまり不平不満も無いようだった。

  

「……リンカちゃんが裸族って事はよぉく解ってるから、今更何も言いませんけどね……!」


 そう言いながら、くねくねと腰をくゆらせながら、腹掛けの下の方を必死で伸ばして、足を隠そうとしているイース嬢。


 ……何と言うか、かえって扇動的なような気がして、思わず目線を逸らす。

 な、なるほど……コレがグッと来ると言うヤツなのか……。


「うん、イース嬢よ。そんなに恥ずかしいのであれば、無理に付き合わんでも良いぞ? 我らは好き好んでこうしているだけなのだ」


「って言うか、アスカ様もなんで、こんな腹掛け一枚で堂々としてるんですか! い、一応女子たるものですね……そんな格好で堂々とってのは問題あるんじゃないかなぁって思うんです。これ、後ろ丸出しじゃないですか! 確かにこれ下着ですけど、せめてズロースくらい履きましょうよ!」 


 確かに、イース嬢の言うように、本来は腰巻で腰回りを隠すなり、ズロースくらいは履くものらしいからな。


 だが、この開放感が良いのだ!

 大丈夫、前から見る分には問題ない!


「はははっ! こんな暑くていいお天気で、服など着ている方が勿体ないではないか。なぁに、ここは男子禁制としているし、わざわざ端まで行って、下を見下ろしたりしない限り、誰も見たりなぞしないぞ。イース嬢も今や一緒に風呂に入ったり、夜毎添い寝をしてくれるではないか! 私は気にしないし、恥ずかしいなら服を着ても、一向に構わんのだぞ?」

 

 なお、夜の添い寝役はイース嬢とリンカの二人で、両手に花と言うのが定番。

 当然ながら、私は二人に強制など一切していない。


 リンカは警護と称してだったし、イース嬢は側近として、当然の権利だと言い張っていた。


 もっとも、リンカは寝る時は昔から全裸が基本だったらしく、いつもスパーンと脱いでしまうし、無理に着せても、寝ている間に脱いでしまうらしく、朝になる頃には全裸になっているのが定番だった。


 イース嬢も最初の頃は頑張って、リンカに夜着を着させたりしていたのだが、どうも無意識に脱いでしまうようで、無駄な努力と悟り、諦めたようだった。


 スラムに住んでいた頃は、さすがに裸で地べたで転がっていたら、襲われても文句言えないので、わら山に裸で潜り込んで寝るとかやっていたらしいが。 


 なお、初日のリンカは、髪の毛もベタベタで全身ドロドロで、そりゃあもう酷い有様だったのだが。


 帝国でヴィルゼットが開発していた植物性シャンプーとリンス、ボディソープを再現してそれを使って、念入りに洗ったら、ピカピカになった。


 ついでに言うと、私もピッカピカ!


 あまりにピカピカになったので、洗ってくれていたイース嬢とファリナ殿も驚愕し、自分達にも試したら、自分達もピカピカ!

 

 なんでも、シャンプーやリンスなどは市販などされておらず、灰や粒子の細かい砂などでのこすり洗いが基本だったそうで、さすがの私もちょっとしたカルチャーショックを受けた。


 ちなみに、それらは植物の実の果汁自体がそのまま、シャンプー、リンス、ボディーソープになると言うなんとも都合のいい植物で、当然ながら遺伝子改良合成植物なのだが。


 合成品よりも当然品質も良く、無害かつ低刺激で、帝国の婦女子の間では自宅でお手軽栽培も出来て、自分なりに成分のチューニングも出来ると言う事で、割りと人気商品でもあったのだ。


 これも、私のこんな感じと言うあやふやなイメージ伝達で、お母様が再現してくれた……。


 最初は自分の腕から生やしていたのだが。

 実を地面に植えたら、普通に根付いて高速育成でジャンジャン増やすことも出来てしまった。

 

 市庁舎の屋上に植木鉢を並べたり、敷地の片隅などでもせっせと育てているし、ファリナ殿経由の口コミでエルフの女性たちの間であっと言う間に人気沸騰。


 ツヤツヤな髪のエルフ女子が日に日に増えていったことで、人間の女性たちもこぞって欲しがるようになり、商業ギルドに売りに出したら、もはや爆発的な人気商品となってしまった。


 普通、そうなると品薄になったりしそうなものだが。

 ここでもモノを言ったのは、植物チート。


 植物ならば、いくらでもハイペースで増産可能なのだ。


 まぁ、本来は土に含有される化学物質の配合率が肝なのだが、そこら辺は私もテスターとして、開発に関わっていた関係でよく覚えていたのだ。


 もはや、商人たちも早速近隣や王都などにも売り込む気満々のようで、この方面でも富の吸い上げ準備オッケーだった。


 まぁ、予め経済と文化による同化侵略を進めておけば、本当に侵略合併されても、民はそこまで困らんからな。


 そう言うやり口で帝国は版図を広げてきたのだから、実戦証明済みと言えた。


 そんな訳で、植物を使った新たなる文化や様々な便利アイテムなどは、むしろどんどん作って、各地に広めるつもりだった。




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新連載始めました!! アスカ様の前日譚! 「銀河帝国皇帝アスカ様 零 -ZERO- 〜たまたま拾った名無しの地味子を皇帝に推したら、大化けした件について〜」 https://ncode.syosetu.com/n1802iq/
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