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銀河帝国皇帝アスカ様、悪虐帝と呼ばれ潔く死を遂げるも、森の精霊に転生したので、ちょっとはのんびりスローに生きてみたい  作者: MITT
第一章「星霊アスカ、その大地に降臨する」

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第二話「異世界の大地に立ちて、物想う」③

 ヴィルデフラウ達は、至って平和的なのんびりとした気質の良くも悪くもぐーたら種族で、日が昇ると頭から水を被って、日向ぼっこを始め、日当たりと水場を求めてゆるゆると集団で移動することもあるが、基本的にあんまり動かない。


 そして、日が暮れて暗くなると穴掘って顔だけ出して地面に埋まって寝る……正に植物ライフ!


 まぁ、そんな調子の超が付くほどには、平和的な至って無害な種族であった。


 当たり前のように領土的野心もこれっぽっちもなく、不躾な宇宙からの訪問者達への敵愾心もいっさい持たず「ようこそ! 大歓迎!」と言った調子で出迎えられて、帝国の保護下へ下る事についても、むしろ向こう側が要求してきた。


 要するに、助けてくれと懇願されたと言う……。

 なにぶん、彼女達の住む惑星は温暖化と砂漠化が進んでいて、種族絶滅の危機に瀕していたのだ。

 

 なにせ、我々がその惑星を発見した時点で、すでに地表の半分以上が荒れ地と砂漠だらけになっていて、かつては緑の惑星だったようなのだが、極地に残されていたかつての海洋の名残と思わしき巨大な塩水湖と……その周辺に残っていた森林地帯にすがるように生き残っていたのが彼女達だった。

 

 そんな状況下で、タイミング良くはるばる宇宙の彼方からやってきた異星人たる我々に、藁にもすがる思いで助けを求めてきたと言うのが実情で、我々としても助けない理由もなく、この異文明同士の出会いは、実に平和的に行われることとなった。


 我々としては、すでに数々の実績のあるテラフォーミング技術を応用するだけの話であり、それに加え、植物を操る異能を彼女達は先天的に会得しており、彼女達の独自技術と我々の惑星改造技術を組み合わせた結果、もはや驚異的としか言いようがない僅か20年足らずと言う異常なスピードで、砂漠化しかけていた惑星を本来の緑豊かな惑星に戻すことに成功していた。


 もっともその煽りで、砂漠化環境に適応していた別の現住ヒューマノイド文明が急激にすぎる惑星環境の変化に追従出来ずに、数々の惑星固有種諸共まとめて滅びたようなのだが……。


 異文化との接触で最初の関門となる意思疎通の試みにも、もうノリノリと言っていいほどまでに積極的で、その後のお話し合いにもちゃんと応じてくれて、その上で、こちらが保護惑星代表種族として認定したヴィルデフラウ達の要望通りの惑星環境に仕上げたのは至ってまっとうな話であった。


 実際、ヴィルデフラウ族はその異種族の存在については認識していたものの、別に気にしなくて良いとやたら明るい調子で断言していたそうなので、それはそれで問題ないと思うべきだった。

 

 要するに、私は悪くない。

 ちなみに、そもそもこの話は私の皇帝就任以前の出来事だ。


 確か軽く50年くらい前の出来事だったと記録されていた。


 かくして、ヴィルデフラウ族は正式に帝国国民として認定され、惑星改造の結果緑一色で染まった森林惑星「ヴィルアース」の代表種族となり、ヴィルアース星系も帝国の非公式領土の一つとなったのだが。

 

 女性の姿をしているにも関わらず、服を着るのを嫌がると言う実に困った性癖も持っていて、外観も明らかに人間離れしていた事から、とても帝国本土には連れ出せず、惑星内を我が物顔で独占し、呑気にぐーたらと植物ライフを送っているのを、惑星衛星軌道上から様子見に行く。


 そして、そのついでに惑星緑化プラント群のメンテナンスや太陽衛星の出力調整を行ったり、ヴィルアース星系の観測防衛体制を整備したり、星系内にあった氷結惑星から切り出した氷の塊をヴィルアースに投げ込んて、潤いを与えたりと、こっちがせっせと面倒を見てやらなければならなくなったと言うなんとも微妙な関係となった。


 もっとも、先方からもたらされた極めて有用な人材と固有特殊資源……。

 これらの提供を受けた結果、もたらされた恩恵は、もはやこちらがお釣りを出さねばならぬほどだったのだ。


 ひとつは『エレメンタル・アーツ』……そう呼称することとなった革新的技術群。

 解りやすく、言えば『魔法』なのだが。

 

 その『魔法』と最新科学技術を融合昇華させた『EAD』と呼ばれる『魔法』を大幅に進化させる革新的デバイス群と、それを扱う新技術『エレメンタル・アーツ』の誕生。


 この時点で、ヴィルデフラウ達との交流は我が帝国にとって、十分すぎる以上の収穫となった。


『魔法』自体はもともと古代地球にも存在していたとされる遺失技術ロストテクノロジーの一つで、我々が知りえたいくつかの地球外文明人の住む惑星世界では、この『魔法』は基幹技術とまでになっていたのだが……。


 もっとも、どこも理論化には程遠い有様で、一言で言えば職人芸。


 一子相伝だったり、それが本当に必要なのかどうかも良く解らない、長々とした呪文や謎の儀式を延々続けて、超自然現象を引き起こすとかそんな具合だった。


 実用性? そこは正直な所、どれも微妙だと言えた。

 

 簡単に言ってしまえば、『魔法』で出来ることは、最新テクノロジーを応用すれば、大抵実現できてしまったのだ。


 結局、魔法の優位性については、何もない所から事象を発生させることでエネルギー効率に優れているくらいしか無かった。


『充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない』


 20世紀の古典文学作家の有名な言葉だ。

 では、その古典文学作家の未来予見は、果たして現実のものとなったのだろうか?


 さて……その古典作家が生きた時代から1000年以上の時を経た三十一世紀の世界は、いよいよこの言葉のような世界になったようなのだが。

 

 実際のところは、少し事情が違った


『充分に発達した科学技術は、魔法を軽く凌駕していた』


 まぁ、そう言う話だった。

 実際に科学が十分に発展した段階で我々は『魔法』の存在を認知したのだが。

 

 現実の『魔法』はいいところ、手品程度の残念な代物だった。


 ……要するに、我々の科学技術は『魔法』すらも意味がないものにしてしまうほどには、高度に発展を遂げていたというわけだ。

 

 夢もロマンもあったものではない話だが、炎を操る魔法師がどんなに頑張っても、単機での惑星重力圏降下オービット・ダイブを軽くやってのける超耐熱シールドを持つ人型汎用兵器ナイトボーダー相手では勝ち目などあるはずもない。


 その上、この『魔法』は惑星地上環境下でのみでしか使用できないという致命的な制約があり、宇宙空間やエーテル空間では、それら魔法師と呼ばれる特殊能力者達は一切の能力が使えなくなるということが判明していた。


 この『魔法』技術は、確かに科学技術の発展していない地上世界ではそれなりに有用ではあったのだが……この地上世界でしか使えないという制約がある時点で、それはある種の文明への「呪い」として機能した。

 

 この『魔法』に依存した魔法文明と呼ぶべき文明は『魔法』に頼る限り、未来永劫宇宙への進出が閉ざされると言う致命的な問題が起きるのだ。

 

 なにせ、宇宙では魔法文明の根底をなす『魔法』は問答無用で使えなくなってしまうのだから。


 何故に……か?

 実際の『魔法』の使い手によると。


『宇宙空間とエーテル空間には驚くべきことに魔法の源泉たる力……魔素が全く存在しない! つまり、燃料がなくては宇宙船が宇宙を飛べないのと同じ理屈で、宇宙では魔法は一切使えない……そう言う事だったのだ!』


 なお、その『魔法』の使い手も、文明に対する呪い……ある種の罠と言う見解については、全くの同感とのことだった。


 その『魔法使い』は、帝国各地を練り歩いて、様々な惑星環境の魔素分布調査も行っていたのだが。 

 結論として、優良な自然環境や資源が多いような惑星に限って、魔素が多く、すべてが干からびたような不毛の惑星やすべてが凍りついた氷の惑星などは、総じて魔素も薄い傾向があるという事が判明している。


 ……確かに、これはむしろ罠と言えよう。

 優良な自然環境を持つ惑星は必然的に知的生命体が発生し、文明が興る可能性も高くなる。


 そして、そんな自然豊かで魔素が濃い環境となると、同時に先天的な『魔法』の使い手としての能力を持つ生物の発生率も高くなるようなのだ。


 この『魔法』の力は、必ずしも知的生命体にしか使えないと言う訳ではなく、先天的な能力として『魔法』能力を会得している大型動物なども多数存在し、それらは古代の想像上の怪物達にちなんで『魔物』と呼ばれていた。


 必然的に、そう言った惑星の文明はそれら『魔物』に対抗するためや、『魔法使い』などが自然発生することで、科学技術ではなく、『魔法』を文明の基幹技術として手にしてしまう可能性が高くなるのだ。


 そして、仮にそのまま魔法文明として、『魔法』技術を発展させて、我々が惑星重力圏から離脱したり、逆に重力圏降下する際の制動や空間機動兵器などにもよく使っている技術……重力制御すら可能となったとする。

 

 この場合は、恐らく惑星成層圏あたりまではたどり着けるだろう。

 だが、そこから先へはどうあがいても進めないのだ。

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新連載始めました!! アスカ様の前日譚! 「銀河帝国皇帝アスカ様 零 -ZERO- 〜たまたま拾った名無しの地味子を皇帝に推したら、大化けした件について〜」 https://ncode.syosetu.com/n1802iq/
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