2/5
⑵『箱に詰められた、ハート型の神々』
⑵『箱に詰められた、ハート型の神々』
㈠
現状維持、という言葉があるが、凡そ俺には、その言葉の本質が掴めない。もしも、現状維持という言葉を、日常生活で体感できたなら、これほどつらい生活など、消失するだろう。何処へ行けば良い、何をすれば良い、ハート型の神々は、沈黙している。
㈡
ついにまた、別の言葉だ。金は天下の回り物、これも、俺には全く分からない世界の、言葉である。一体どんな境遇生まれれば、こんな言葉を発することができるんだろうか。こんな言葉の数々は、俺は日常では見いだせずに、小説という箱に詰めて終わる。
㈢
異質だ、という体感はある。自己がこの世に生じた頃から、何故か世界は、俺のためにはなかった。これは、よくよく考えれば、当たり前のことである。自分のために地球が回っているはずがない、しかし、自分のために地球を回している人も、居るには居るんだろう。俺には、そんな世界の、言葉が見つからないんだ。