お昼の流れ星
ある晴れた日、太陽がお空のてっぺん目指して進んでいる頃、青い屋根のお家の中にある鳩時計は十回鳴いて時間をお知らせします。
「ねえねえ」
ソファーに座ってテレビを見ていた男の子は振り返ると、背もたれから顔を覗かせ、洗濯物を畳んでいたお母さんに訪ねます。
「どうしたの?」
「今テレビでね、今日しし座流星群が見れるって言ってたんだ。
流星群って流れ星がいーっぱい流れるんでしょ? そしたらお願いごといーーぱいお願いできるよね!」
良いことを思い付いたと、手をパタパタさせ興奮気味に話す男の子を見て、お母さんは可笑しそうに笑いながら答えます。
「まさくんは、そんなにいーぱい、お願いごとがあるの?」
「うん、いっーぱいあるよ!」
まさくんと呼ばれた男の子は、手を大きく広げて、お願いごとがいっーぱい! あることをお母さんに伝えようとします。
それが可笑しくてたまらないお母さんは、クスクス笑いながら洗濯物を畳むのを止め、エプロンのポケットからスマートフォンを取り出します。
「あらあら、しし座流星群は夜の十一時からよ。まさくんは寝ている時間ね」
スマートフォンの画面を見て、しし座流星群のことを調べてくれたお母さんの言葉に、まさくんは怒ってほっぺたを膨らませてしまいます。
「でもねまさくん知ってる? 明るいから見えないだけで、お昼にも流れ星は流れてるんだよ。
牡羊座流星群なんてお昼にいーーぱい流れてるんだって」
スマートフォンの画面をチラチラ見ながらお母さんは手を広げて、いーーぱいをまさくんに伝えます。
「えっ! だったらお願いごとはいつしてもいいの?」
目をまんまるにして驚くまさくん。お母さんは、その目がまるでお月様みたいだなと思いながら、そしてコロコロと表情が変わるまさくんが面白くてたまらず笑ってしまいます。
「ふふっ、そうよ、お願いごとはいつしてもいいんだよ。だって流れ星はいつでも流れているんだもの」
「おぉ~」と口をポッカリ開けて驚いたまさくんは、リビングの窓まで走ると、空に向かって手を合わせます。
「お昼ご飯はカレーが食べたい。お昼ご飯はカレーが食べたい。お昼ご飯はカレーが食べたい」
大きな声で呟くまさくんのお願いは、その姿を見て優しく笑うお母さんが早速叶えてくれそうです。
童話に初挑戦してみましたが難しいですね。でも楽しかったです。今度はファンタジーよりのお話も書いてみたいと思ってます。