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転生した元社畜男子は聖女になって人生逃げ切る事を諦めません!  作者: hazuki.mikado
ニ章.転生聖女と転生聖王
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聖女成長する

お読み頂きありがとうございます(。・ω・。)ノ♡


 『お腹が重いなあ・・・』



 最後に自分の脳裏を過ぎったのはそれだけだった。




 ゆらゆらと揺り籠に寝かされて、マーサと母が覗き込んでいるのが見える。



『ミリアちゃんはきっと私にそっくりになるわねえ』


『三国一の花嫁になりますよきっと! 』


『きっと王子様でもメロメロになるわよね』



 二人がニコニコと嬉しそうに笑っている・・・


 母の白い指がミリアの頬をスリスリと撫でる。



『素敵な自分だけの王子様を見つけてね。私がウィルと結ばれたようにね』



 愛し子を慈しむ瞳をした母の暖かな手が頭を撫でる。



 そうだ、コレは多分前世を思い出す前の記憶だ・・・



 思い出をぼんやり眺めていると何処からともなくラベンダーの香りがほのかに漂ってきて、ゆらゆらと体が揺れると段々と気持ちが良くなりミリアの意識は又奥深くへと沈んで行った。



××××××××××



 目を開けると白い天井が見え、頭をゆっくり巡らすと聖女と天使が戯れている構図のステンドグラスが見える。



「あれ、ここ神殿? 」


「あら、おはようミリー。よく寝たわねえ~ 神殿の治療室よ」



 お爺ちゃんが覗き込む。



「なんで神殿? 魔獣の討伐は?」


「あら全然覚えて無いの? ミゲルがアンタをココに連れてきたんだけど」


「え」



 ガバっと体を起こすと頭がクラクラして、そのまま前のめりに掛け布団に頭を突っ込んだ。



「討伐は、急遽結界石の回収と再設置になったのよ。アンタが魔法で魔獣の類を全部消滅させちゃったから当分安全だわよ。それよりさ」



 ムクリと布団から体を起こすミリアンヌ。



「おめでとう聖女認定できるわよ~ 今日からならいつでもね」


「へ? 」


「第二次性徴よ。初潮が来たせいで貧血起こしてひっくり返ったのよ。ミゲルがアンタを抱えてさあ、慌てて転移して来たから何事かと思ったわよ~ 」


「ええ? 」


「【聖女の癒やし】ね、神殿からも見えたわよ。アンタ、あの程度の規模の森に全力で神聖魔法を使ったでしょう? 神聖力が余っちゃって余波が自分に来ちゃったのよ」


「・・・? 」


「自分の胸見てみなさいよ」


「え? 」



 思わず下に目をやると、見慣れない双丘が・・・



「おお? 何だコレ」


「バカねー、身長も髪の毛も伸びてるわよ」


「へ?」



 両手で自分のバストが本物かを確認していると、ジト目になるお爺ちゃん。



「うわ、なっがい。何ですかコレ」



 元々腰の辺りまであった髪の毛が膝下まで伸びている。



「アンタの髪の毛に決まってるじゃん。【聖女の癒やし】で祈った文言覚えてる? 」


「え~と、今回のは、本来の姿に戻し給え? だったと思います」


「ソレだ。余っちゃった魔力がアンタに返って来て、本来の年齢の姿に成長したんだわ」


「ふええぇ? 」


「ミゲルが、服が破けたって騒いで大変だったわよ」


「え? 」


「何か急にぶっ倒れて見る間に髪の毛が伸びるし、手足も背丈も伸びるし胸はでっかくなってボタンが飛び散るしでメチャクチャ慌ててたわ~ 」



 ゲラゲラ笑うおじいちゃん。



「ミゲルも『火事場の馬鹿力』でね転移魔法が使える様になったらしいわよ。まあ、アンタの真横にいたんだから神聖力の余波が影響したのかもしれないけどね」



 そういえば転移魔法は練習中って言ってたなあ。



「ミゲル様は? 」


「ああ、今は森に帰って後始末してる筈よ。オロオロしてたけど貧血を起こしただけって言ったら納得したみたい。とにかくその格好じゃあ家にも帰れないから着替えましょうか」



 若草色のブラウスの袖からは手首がニョッキリ出ているし、キュロットの腰回りもピチピチだ。


 足も随分伸びたのか裾から十センチ位は足首が長くなって、はみ出ている気がする。



「これ、もう駄目ですよね~ 」



 ブラウスは胸周りのボタンが無くなり、所々破れている。



「まあ御令嬢の格好じゃあないわねえ。キトンを着せてもらうからついてらっしゃい」



××××××××××



 神殿の衣装室に連れて行かれ、女官達に白い大きな一枚布とブローチを使った簡素なドレスを着付けしてもらう。



 古代ギリシャ風のドレスである。



「似合うわねえ」



 ニコニコして笑うお爺ちゃん。



「聖女は公式の場ではそのキトンが正装だからね。早く着方を覚えるのよ」


「は~い・・・しっかし急に背が伸びましたねえ~ 」



 鏡を見ると、二十センチは伸びている気がする。



「それでも十五歳にしてはちょっと背が低いとは思うけど、人並みになって良かったじゃない」



 恐らく今の身長は百五十センチ足らずだろう。顔の造作はそう変わっていないのだが、体だけが伸びた感じである。


 つまり大人っぽくなったと言うわけではない・・・



「良かった顔が変わんなくて」


「何でよ」


「家に帰った時に家族から知らない人って言われたらショックじゃないですか~ 」


「・・・まあね。とにかく今日は、自宅でゆっくりと休みなさい。明日はお休みよ」


「修行は? 」


「カリキュラムを変えて続けるわよ」


「ハイ」



 やっぱり修行は必要らしい・・・



世界を背負うオンナの修行続行決定








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