聖女考察する
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「おおーい」
ダンジョンの奥から声がする。
「将軍閣下、大丈夫ですか! 」
先行していた騎士が将軍閣下に向かって返事をした。
「不味いぞこのダンジョンの主は昆虫タイプだ! 」
奥から声と共に赤毛の大柄なマッチ箱のような体型のストレリチア将軍が走って現れた。
「殿下、ミリア嬢も騎士団も一度撤退だ! 主はもう駆除したが、卵の量が凄すぎる。孵化したら大変なことになるぞ」
将軍閣下、ものすごく顔色が悪い。
「虫・・・なんのですか? 」
「カマキリだ! 」
「うへえ厄介ですな」
「兎に角一度外に出るぞ」
騎士達が口々に騒ぐ中、共にもと来た道を走って引き返す。
「カマキリってあのカマキリ? 鎌が両手に付いてるアレ? 」
「そうだ。デカくて硬くて空も飛ぶ上に、一度に大量に卵を産んで一気に孵化するんだよ」
ミゲルの説明を聞きながら
「卵を壊したら? 」
「駄目だ。魔法も物理も卵のうちは攻撃が一切効かないんだよ。しかも生まれたら親と同じサイズだ」
「親と同じ?」
「四メートルはある。ソレが、一度に何百匹も産まれる事を考えてみろ。森の動物も小さな魔物も居なくなる訳だ。生き物は全て喰い散らかされて全滅する」
「ひえええ~ 何ですかその凶悪な生き物」
「この世界でも虫タイプはかなり厄介な魔獣だな。カマキリは特に肉食だからな。人間も好物だぞ」
「ひえええぇ~~ 」
真っ青になるミリアである。しかし逃げ足は早い。
「将軍、主は倒したのか? 」
「そうです殿下。一匹だけでしたのでな。しかし私の愛剣をアヤツ噛りましてな、刃こぼれしましたぞ! 」
顔を怒りで真っ赤にしながら怒鳴る将軍閣下の愛剣は背中に背負った幅広の大剣である。モン●ンに出てきそうなヤツで、デカくて長くて威力がある・・・
それ齧ったんかーい!と心のなかで突っ込む侯爵令嬢ミリアンヌ。
多分周りの騎士たちも彼女と心は同じであろう・・・
×××××××××
「獣型や鳥型じゃなくてよりによってカマキリかよ~ 」
頭を押さえる王弟殿下と、ゲンナリしている将軍閣下と騎士達である。
無事ダンジョンから脱出して、外で待機していた騎士団長率いる騎士たちと合流しストレリチア将軍の説明を聞いた途端に騎士達も真っ青になった。
ミリアは魔獣を今迄見たことはないが、外骨格である昆虫の類いが巨大化するとかなり厄介だろうな~ と想像だけでもゲンナリする。
あらやだ、カブト虫とかは乗ったらめっちゃ楽しそう・・・
「このままではダンジョンから溢れて暴走します。この森は彼奴等の餌がありません」
「俺たち以外はな」
ミゲルが嫌なことをサラッと言い、周り全員の顔の青さが更に増した。
××××××××××
「騎士団は森から全員撤退だ! 魔力で森の外周を包囲しろ。不測の事態に備え、後方に救護班の設置! 書記官は魔法便で国王陛下に至急通達せよ」
王弟ミゲル殿下が大声で指示を出す。
「全班殿下の指示を遂行せよ! 」
「「「「「「はッ! 」」」」」」
騎士団長の号令が響き渡り騎士達が動き始める。
その間ミリアが何をしていたのか・・・
実は前世で飼っていたカマキリを思い出していた。
勿論子供の頃である。
「カマキリの雌って、交尾する時に雄を食べると卵が増えるんだよな~ だったらダンジョンの主は雌だよな・・・卵の数が多いって事は・・・」
「おい、ミリー大丈夫か? 」
「あ、大丈夫です昆虫大辞典を頭で拡げてただけですから」
「なんだそりゃ? 」
「いやね、昔カマキリ飼ってたんですよ。卵が多いって言ってたでしょう? 」
「お、おう? 」
「カマキリの雌って雄を交尾しながら食べる習性があるんですよ。まあ、逃げ切る雄もちゃんといますけどね。でね、雄を食べた雌は通常より卵が増えるんですよ」
「ヘ? 」
「ダンジョンの主は恐らく雌ですよね? 卵産んじゃってますから。てことは餌になる雄がいるから卵が多い訳でしょ? その餌になってた雄は全滅したんでしょうかね? 可能性としては、結界石が壊れる前に外で食い散らかして来てココで産んだかもしれないですけど・・・ 」
ミリアンヌの言葉にミゲルが目を見開いた。
「この森の中に下手をしたら雄がいるかもしれないという事か! 」
「ウ~ン、前世のカマキリと違って魔獣ですから生態が一緒かどうかは謎ですけど。可能性は無いとも言い切れないですよね・・・」
ミリアンヌの言葉が終ると同時に撤退したはずの騎士達の悲鳴が森に響いた・・・
執筆者的にデカくなったら怖い昆虫ベストスリー
1ムカデ
2カマキリ
3ゴッ●ー←小さくてもイヤ
蜘蛛は昆虫じゃないのだよ。
入れたくなるけどw




