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転生した元社畜男子は聖女になって人生逃げ切る事を諦めません!  作者: hazuki.mikado
ニ章.転生聖女と転生聖王
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森のダンジョン

お読み頂きありがとうございます!


 大きな力のある魔獣が洞穴などに住み着くと、その場所はダンジョンに成長する。


 不思議なことにダンジョンから主である力のある魔獣が居なくなっても、他の小さな魔獣達が住み着くとダンジョンとして機能する。


 今回の森に出来てしまったのは前者だ。


 現在、絶賛『大物魔獣』が奥で闊歩中・・・



 ダンジョンは迷惑な魔獣が住み着く場所ではあるのだが、洞窟の壁面や岩場に様々な魔石結晶が生まれる。魔獣を倒したときに取れる核が魔石となるのだがダンジョンから取れる結晶はそれと比べると純度も高くサイズも大きい為それを使って神殿で結界石が作られるのである。


 それがミリアンヌの言っていたお宝だ。


 ダンジョンの魔石結晶は冒険者達が持ち帰りギルドに提出すると王宮や神殿が買い取りをして様々な用途に応じた魔力を魔石結晶に付与出来るように加工して魔力を込めた後、市場に降ろされ国民に販売される。


 言うなれば魔力専用電池のような物である。


 上質な物は充電池で、魔物から取れる物は使い捨て電池みたいな感じと考えるとわかりやすいのかもしれない・・・


 魔獣を完全に殲滅せずに間引きという形を取るのは、古いダンジョンを活かすためにも大切な事なのだ。


 因みに魔獣の居なくなったダンジョンはタダの洞窟に戻ってしまうため、魔石結晶は採掘出来なくなる。

 ただ、一度でもダンジョン化した事のある洞窟は時間が経って小さな魔獣がやって来て住み着けば又魔石結晶が産出されるようになる。


 自然界には不必要な物は存在しない。



×××××××××××



 ミリアが鈴の音のような音をロッドから響かせながらミゲルにエスコートされ森を歩くと、周り一帯の黒い靄がどんどん晴れて行く。


 それはまるで暗闇に閉ざされた世界を一人で歩き続け、生き物を救った光の妖精姫の御伽話のようだ。


 ミリアの前を行く騎士達の周りも、後に続く騎士達もどんどんと眼の前が開けていく様を奇跡のように感じながら進んでいく。


 しかし、何故か小鳥も小型の魔獣も見当たらないのは何故だろう?



「殿下」


「ん? 何だミリー」


「ストレリチア将軍、よくあの真っ暗な靄の中に突っ込んでいかれましたねえ」



 眉を八の字にするミリアンヌを見て、プッと笑うミゲル。



「あの人は、英雄だからな。気力なのか野生の勘なのかわからんが、眼の前が視えてなくても目的地と敵がわかるんだよ。そういう探査系の魔力持ちなのかもしれん」


「凄いですね」


「まあ、皆がそういう訳じゃないからな。お前が今やってくれてる浄化は絶対に必要だ」



 ミゲルを見上げるミリアンヌ。



「コレってミゲル様も出来るんですよね」


「ああ? やったことは無いな。今なら多分できるんだろうが、お前のように神殿教育は受けていないからな。恐らく今のままじゃ自己流になるだろうな」


「王族は皆、光の魔力を受け継いでいて聖属性魔法を使えるようになる人が多いんでしょう? 」


「確かに。だがな聖女や聖王とは魔力供給量が違いすぎるのさ。持続が出来んから小手先のものしか出来ん。俺も昔はそうだったから分かる」


「ああ、そう言えばそうでしたね」



 小首を傾げながら、ミリアが変な顔をした。



「どうした? 」


「ウ~ン、何かな変なんですよね。違和感があるんですよ」


「?」


「何だかムズムズするっていうか・・・」



 先を行く騎士達がこちらに向かって



「ダンジョン発見しました! 」



 と声を張り上げた。

 


××××××××××



 ダンジョンの先発隊の後ろに付いていくミリアンヌ。


 なぜって、ダンジョン内が靄で充満しているからである。



「ウヒャー、凄いですねこの結晶真っ赤ですよ」


 ミリアが進むとダンジョン内の靄は消えてゆく為ダンジョンの中もよく見えるようになり、壁一面にビッシリと生えている六角柱の魔石結晶も見え始める。


 サイズは人差し指位。



「奥へ行くともっとでかいサイズになってくるぞ」


「へえ~、このサイズでも初めて見ました」


「ああ、そうかもな加工するとどうしても小さくなるから」


「成程。加工前だとこの位なんですね」



 小声で話しながら奥へとどんどん進んでいく。前方の騎士達の中で光魔法を使える者がいるらしく、足元は明るい。



「将軍、何処まで行っちゃったんでしょうか? 」


「多分奥だ。ダンジョンの主の所まで行っちまったんじゃないか? 」


「・・・無茶苦茶元気ですね」


「・・・まあな」



ミリアなど足元にも及ばない脳筋っぷり!素晴らしい!




 

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