ダニー君と一緒
お読み頂き感謝します\(^o^)/
ミリアンヌ十歳である。
王都の神殿にて、この世界の先達である大神官様の指導を受けるために彼女は六歳からタウンハウスで暮らしていた。
娘を溺愛している両親もほぼ一緒である。勿論、天使のように可愛い弟も一緒!
ダニエルは、六歳の魔力判定で風と水の魔力適性がある事が分かった。彼はどうやら転生者ではなかったようである。
「姉さま、剣術の成果を見てください! 」
朝食後、薔薇色の頰を染めてミリアの部屋にやって来る美少年。
うむ。カワイイ。
「ダニー、神殿に出発する時間までの間でいいのかしら? 」
ぱあっと笑顔になる天使。
「はい! 姉さまに習った剣技をお見せしたいだけですから! 」
いそいそと姉の手を引いて、庭園を二人が連れ立って歩いていく姿は、まるで天使の絵画のように美しい。
使用人たちが思わず、ほうっとため息をついて、思わず見送ってしまうのは、もはやテンプレ。
「姉さまが教えてくれた、魔法を剣に纒わせる技を習得したのですよ!」
「凄いわ!さすが私の自慢の弟だわっ!」
しかし、その美しい唇から発する台詞は、えらく物騒であるのだが・・・
庭園の芝生エリアで子供用の小ぶりのサーベルを侍従から受け取るダニー。
鞘からスッと取り出して、右手で持ち、左手の人差し指でその背をなぞる。
「素晴らしいわ!ダニー!」
ダニエルの持つサーベルは青白く光り、その周囲を小さな風が舞っている。風と氷の魔力を纏わせて、殺傷能力を上げるのである(めっちゃ物騒)。
「姉さまの教えて下さった通り、氷魔法も使えるよう修練した結果です!」
弾けるような笑顔で答える弟の頭をヨシヨシと撫でるミリア。
馴れてはいるのだが、ちょっと後ろで顔を引き攣らせる侍従・・・
「姉さま、見ていて下さいね! 」
「ええ、もちろんよ! 」
十メートル程離れた場所に設置してある的に向けて、ダニエルが、『ヒュン』という音をさてサーベルを振るうと、狙った的が『パキーン』という音をさせて、真っ二つになって地面に落ちる。
落ちた的を侍従がすかさず拾い上げ、ダニエルの元へ駆け足で持ってきた。
「姉さまの様には、まだ無理ですが、ほら、随分上手になりましたよ! 」
跪いた 侍従が、ミリアに見えるように的を差し出す。的は真っ二つになるだけではなく、氷に覆われている。
「ダニー素晴らしいわ!私の技と寸分違わぬ出来じゃないの!」
「え、でも姉さまのように的が崩れておりませんよ?」
「いいえ、ほら」
ミリアは、侍従の手にある的を受け取りそのまま地面に落とす。すると、的はあっという間にキラキラと光りながら崩れてしまう。驚くダニエルと侍従。
「下が芝生だから、クッションになったのと、氷結が的の中心まで届くのが、まだ少し遅いだけね。風魔法のスピードも申し分ない速さだわ! 年齢と共に魔力は上がるから、直ぐに氷魔法も強くなるわ」
「姉さま、嬉しいです」
「ダニー私もよっ」
ヒシッっと抱き合う姉弟。パッと見は美しい姿だがその中身は、昭和スポ根少年漫画。
侍従は笑顔でそっと耳を塞ぎ、その美しい姿だけを目に焼き付けるのであった。
どこを目指してるのか分かんない姉弟・・・確か侯爵家だったよな。ん?
昇●拳と悩んだけど、●剣覚醒にしました。美少年は、エモノ使いこなせる方がいいよね!って事で。合掌