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転生した元社畜男子は聖女になって人生逃げ切る事を諦めません!  作者: hazuki.mikado
ニ章.転生聖女と転生聖王
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目標はカレの誕生日

お読み頂きありがとうございます!


 「イタタ痛いいいぃ~! ギブ!ギブ!」


「そうそう、侍女殿。そんな感じでゴリゴリした筋肉をマッサージして下さい」


「ハイ、聖王様」



 神殿の湯殿である。


 リラックス効果と循環を良くするハーブやスパイスの入った薬湯に浸かり茹であげられた後に、身体中をマッサージされている侯爵令嬢ミリアンヌ。


 マーサにレクチャーしているのはもちろんお爺ちゃんである。



「擦り上げてパッと離す感じで」


「はい」


「いででで!イタッ! 」


「コレを四日に一度の頻度で施してください。」



 お爺ちゃんの指導で全身を隈無くマッサージする方法を学ぶマーサ。


 顔がめちゃくちゃ真剣である。



「巡りを良くしてホルモンバランスを整えるのが目的ですから」



 シレッというお爺ちゃん。



 一体この人、前世で何を生業にしてたんだろう・・・



 寝台に寝そべり、ジト目で見ていると



「筋肉をつけ過ぎです」



 真面目な顔でお爺ちゃんに返されてしまった。


 はい。すいません・・・



×××××××××××



 散々身体を捏ねくり回され、又もや机に突っ伏すミリア。



「ニワトコ月迄に仕上げるんだからね。ミリー」



 ココはお爺ちゃんの私室。つまりいつもの真っ白いお部屋である。



「半年以上あるから充分時間はある筈だからね! 」


「ふあ~い・・・」


「しっかりしなさい。それまでにあんたの誕生日だってあるんだからね」


「あ、そう言えばそうだった・・・もう直ぐ十五歳か~・・・ 」


「本来なら、十三歳の秋には認定式がある筈だったんだけどねえ~。十五歳の秋を目指して頑張るわよ~ 」


「は~い・・・ 」



 正直お爺ちゃん、ミリア本人よりノリノリである。有り難いと云っていいのかどうなのか・・・


 冬前迄もつのだろうか・・・主に気力が・・・体力は充分ある筈。多分。



「ジジイ、来たぞ」


「ジジイ言うな! 若造! 」



 金色の魔法陣の点滅と共にミゲルが部屋に現れた。足元にメルを従えている。



「ああ~ メルちゃん・・・私の癒やしが・・・ 」


「こら、ミリー。お触り禁止よ」


「えええぇ~、そんな殺生な・・・ 」



 怪しい動きでワキワキとするミリアの手をペシッと叩く大神官様。



「おいおい、どうしたミリー? えらくヘバッてるじゃん」



 ソファーで伸びているミリアの隣に座るイケメン王弟殿下。



「朝練が結構厳しいのよね」



 おほほと笑う、お爺ちゃん。



「筋トレとかランニングなら平気なんですけど、この寒いのに滝行とか火渡り業とか・・・」


「へー。面白そうだなあ。俺はやらなくていいのか? 」


「面白くないです~ 」


「アンタは代わりに居合やってるからイイのよ。魔獣狩りも騎士団でやってるでしょ」


「まあな。それって代わりになるんだ」


「まあ命懸けの集中力は、実戦を経験してる分ミリーよりはあるから免除よ免除」


「あ~、成程。ミリーは雑念多そうだからなあ」


「・・・はあ」


「魔獣の前で気を散らしたりしてたら負けるからな実際。毎回命懸けだから集中力は確かにある」


「アンタは、転生する前は師範代の免状持ちだったんでしょ? 」


「まあな。道場で門下生に稽古をつけるのもやってたしな」



 腕組みをして、にやっと笑うミゲル。



「ミリーは柔道とか剣道とか合気道とか何かやってた? 」


「いえ、全然記憶に無いです。まあ、最近はうろ覚えって感じなんですけどね」



 お爺ちゃんがにっこり笑って



「じゃあ、朝練は続行だわよー 」



 鬼である・・・・



「ジジイ、あのさ。魔獣狩りでいいんなら連れてくぞ」



 頬杖をつきながらミゲルが事も無げにのたまう・・・



「あら、毎日滝行と火渡り業ばっかりじゃあ飽きちゃうから、ソレもカリキュラムに入れてもいいかも~ 」



 トンデモナイ爺である。


 いや、ミゲルもドッコイか・・・



「魔獣? へ? 」



 目が点になるミリアンヌであった。



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