双子は情報を垂れ流す
明けましておめでとう御座います(_ _)
今年も宜しくお願いします(^^)
「ねえねえ、叔父上の離宮に行きたい」
「叔父上、良いよね僕も~! 」
「「メルと遊ばせてよ」」
額に手を置いて、はぁ~ とため息をつくミゲル。
「お前たち、勉強の時間じゃなかったのか? 」
「もう終わったよ」
「ちゃんとやった」
「「お出掛けは、お母様に許可もらったよ! 」」
「・・・そこか」
「「叔父上がいいって言ったらついて行って良いって許可貰った」」
どうやら王妃様の仕込みが何やらあるらしい・・・
「わかった。俺は今日は馬だから一緒は無理だ。王宮から馬車を出してもらえ」
困った顔で双子に言い聞かせると、
「スマン、コイツらが一緒でも構わんか? 」
と、ミリアとダニーを振り返る。
「良いですよ、それとも我が家の馬車で一緒に行きますか? 」
××××××××××
「侯爵家の馬車も豪華だね~ 」
「うん王宮のとあんまり変わんない位だね~ 」
現在東の離宮へと移動中の馬車の中。
双子がフカフカソファーの上に座り、足をぶらぶらさせている向かい側にミリアとダニーとマーサがゆったりと座っている。
侯爵家の馬車は基本的に六人以上が乗る事を前提で作られている大型の馬車なので子供二人が増えた所でどうということはない。
因みにミゲル殿下は馬上の人になり、馬車の横を警護宜しく並走している・・・
王弟殿下に警護されるって、どんだけ重要人物なんだよと一瞬気が遠くなりかけたのだが、そうだこの二人はこの国の王子だったと思い出して正気を取り戻したミリアンヌである。
窓の外のミゲルを見ると栗毛の美しい馬に乗って走る姿は、黒髪が風に靡き少し目を細めて周りに気を配っているのがよく分かる。
濃いロイヤルブルーの騎士服と、腰丈の短めのマントが翻り凛々しさを倍増させている気がする。
しかし何をしてても実に絵になるイケメンである・・・イイ。
うん? 何がイイんだ?
ちょっと首を捻るミリア。
「ね~ね~、ミリア嬢はアレク兄上の事好き? 」
「うえっ? いえ、第一王子殿下の事はお顔くらいは存じておりますが。好きも嫌いもありません・・・」
子供は直球でぶっ込んでくるのでこっちが対応にオタオタするね。
「えぇ~、知り合いじゃないの? 」
「はい。お話しをした事も御座いません」
「兄上、モテるし、ハンサムだよ? 」
「ええ~、いえやっぱり顔だけで好きにはなれませんね」
「皆、兄上の顔に寄ってきてるんだけどなあ。ミリア嬢変わってるね」
「そうでしょうか? 」
「兄上はミリア嬢がイイって言ってたよ」
「ほら、兄上惚れっぽいんだよ。見た目でポーッとなって盛り上がってんだぜ、きっと」
辛辣なのはどうも黒髪のゲイル王子のようだ。
ハニーブロンドのクレス王子の方は、単純に面白がっているように見える。
「じゃあさ、叔父上の事は? お友達でしょ」
「そうだ、離宮に招かれてるくらいだからアレク兄上より仲は絶対いいよね」
「・・・えぇ~ と、仲良しですね。確かに」
「じゃあさ、結婚する? 」
ぶっとマーサが吹き出した。ジト目でそれを睨むミリア。
「殿下、一応コレでも貴族の端くれですのでそう簡単に王族と結婚できるなんて言えませんませんよ・・・」
顔を赤くして言い訳してるみたいで居た堪れない・・・
「じゃあさ、結婚したくない訳じゃ無いんだね。そっかー 」
「何故、そうなるんですか~ 」
「え、だってさ、貴族の端くれじゃなかったら簡単で結婚できるってコトになるじゃん! 」
うわ、子供すげえ。超屁理屈っぽいのにそう感じさせねえ力技。
侯爵家側の三人が口をあんぐり開けて驚く。
「良かった~。アレク兄上より叔父上のほうがカッコいいし頭いいし強いから、そっちオススメしようって思ってたんだ! 」
「兄上、クロードがいないとダメダメだもんな」
「兄上はクロードとお嫁さんの両方がいるからさ、クロードの方と結婚したほうがいいよね」
「ソレじゃ兄上のお嫁さんいなくなるじゃん」
「ウ~ン、じゃあさ二人共と結婚したらいいじゃん」
「いや殿下、重婚は出来ませんからね。この国」
流石にダニエルも口を挟んでしまった。
「じゅうこんて、何?」
「えと、複数の人と婚姻を結ぶことですね」
慌てて説明するダニー。
「じゃあ、クロードと兄上が結婚する? 」
コテンッと首を傾げる双子達。
余程アレク王子はクロード・モース侯爵令息がいないと駄目なんだな、とアークライド侯爵家の三人は全員チベットスナギツネの顔になったのであった。
アレク王子を語る時に、外せないクロード・・・?




