お迎えにあがりました
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ハッハッハと大きな笑い声を上げながら、剣ダコの出来た大きな手でダニエルの頭を撫でる将軍閣下。
「そうですか、ウィリアム殿もキャサリン夫人もお元気ですかな? 」
「はいっ! 今日帰ったら父に将軍閣下にお会いしたと自慢して良いですか? 」
「いやいや、ソレはありがとうございます。しかし本当に似ておられる」
ニコニコと嬉しそうに笑うストレリチア将軍。
「あの、失礼ですが両親とは旧知の仲とはどのような?」
「ああ、そうかソコは伏せておられるのでしたな。まあ、いわばあの御二方の恋のキューピッド役とでも申しましょうか。昔から侯爵閣下はキャサリン夫人一筋でしてなあ・・・」
懐かしそうに目を細めるストレリチア伯爵。
「おおっと、これ以上は父上にお聞きください。勝手に喋ると後で侯爵に噛みつかれますでな。まあ、お二人に対してけして悪さはしておりませんぞ」
ハッハッハと笑う将軍閣下。
「父は将軍の事を国の英雄だと言っておりますわ」
「私もそう聞いてます。あと、昔お世話になったってチラッと聞いたけどそれ以上は教えてくれませんでした」
む~っと言う感じで口を尖らすダニー。
それを見て若干悶そうになるミリアンヌ。
「今日は、教えてくれるかもしれませんぞ」
茶目っ気タップリにウィンクする将軍はイタズラっ子のように見えた。
「そうだ、忘れていましたが騎士団に何かご用事かな? 」
「第一騎士団の訓練の見学をお願いしておりますの。ミゲル様に許可を頂きまして、ぜひダニエルを連れて行かせて下さいとお願いしたら快く了承して頂けましたので」
ちょっとだけ目を見開いてミリアンヌの顔をまじまじと見るエヴァンス。
「そうですか。殿下が・・・」
ニコリと笑いながら
「殿下を宜しく頼みましたぞ」
と、嬉しそうに手を差し出してきたので、思わず握手をしてしまうミリアであった。
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第一騎士団の訓練施設も他の騎士団と同じく野外にある。
ソコを目指して歩きはじめる姉弟と召使い達。
「結構距離がありそうで、いい運動になるかもね」
最近、筋トレから遠のいているためストレス解消に丁度良さそうである。
「運動して大丈夫ですか? 」
「マーサ、散歩と美容のためのストレッチは良いのよ」
「じゃあ、大丈夫ですね」
ウンウンと、ダニーの後ろで侍従が頷くのが目に入る。
何気に運動禁止令が、侯爵家の召使い全体に行き届いているのがちょっと怖い。
思わず遠い目になるミリアンヌ。
大神官様効果半端ねえ。
まあ、今の所大人しく筋トレから離れるしか他に方法が無いので仕方ないので我慢である・・・
「ミリア殿、お迎えに上がりました」
受付の建物の角を曲がると声が掛かった。
しかし、見回せど人影はない。
「? 」
「こっちです」
「あ」
足元に白いモフモフとした大きな猫。メルヘンである。
「メルちゃん、どうしてココにいるの? 」
メルを抱き上げると、こっそりとミリアの後ろでニヨニヨし始めるマーサ。
初めて見る巨大な猫にビックリのダニーとダニー付きの侍従。
「大きな猫ですね。しかも喋る・・・え? 」
何も言わないが侍従も目を丸くする。
ミリアとダニーの破天荒ぶりに振り回され慣れている侍従も、喋る猫には驚きのようだ。
「御主人様がミリア殿と弟殿をお迎えに行ってこいとおっしゃいました故」
ストンとミリアの腕から地面に降りて前足を胸に当てるメル。
「それでは、従者の方々も共にご案内致します」
そう言った途端、全員の足元に金色の魔法陣が浮かび上がりその場から忽然と四人の姿は消えてしまった。
まあ、なり損ないの元魔王・・・イメージは長靴を履いた猫ですね♪




