お爺ちゃんと内緒話1
さて、ミリアは翌週には王都のタウンハウスの自室で日課の筋トレに励んでいた。
剣での素振り百回と庭でのランニングは朝のうちに終わらせておいたので、筋トレ後のストレッチで本日の運動は終了である。
出来ればサンドバックを部屋に吊り下げボクシング若しくはムエタイ辺りを実践したい所だが、母とマーサに泣いて縋られるのがオチなので未だ実践には至っていない。
「ミリアちゃんもう直ぐおでかけよ~」
と母の声が聞えた。タオルで汗を拭い、
「はーい」
と、返事をしクローゼットから一張羅の乗馬用ジャケットを羽織って部屋を飛び出し、階段を駆け下り十段くらい手前で玄関ホールに華麗にスタッと飛び降り着地するる。
ウ~ン八点! 因みに満点は十点ね。
「ミリアちゃん・・・」
今日も母は絶好調で美しい。が、眉尻は下がっていた。
「お嫁に行けないわよ・・・」
「うえっ。お嫁とか気持ち悪っ」
「・・・はあ」
本気で顔色を悪くする娘の将来を、不安に思う母である。
「母様、ダニエルがお嫁さんを貰えば我が家は安泰です。私の事は全くもって気にしないでください」
ダニエルはミリアンヌの三歳下の弟である。
金髪碧眼の天使っぷりは侯爵家のアイドルだ。
そのまま素直に育ちさえすればイケメン決定なので、引く手数多の優良物件になるはずだ。
「結婚だけが幸せではありません」
とか何とか言ってはいるが、中身が未だ男のままだから仕方ない。男と結婚なぞ御免被る!
ま、計画では結婚しなくても良いようになるはずだしね。
「奥様お支度が整いました」
マーサの声に促され、侯爵家の立派な馬車に乗り込む。父は王宮から直接神殿に向かうらしい。
王都に訪れたことは無い為、初めての筈だが何やら既視感に囚われる。
これ多分ゲームのスチルとかを覚えてるからだろうね、と一人で納得するミリアと母とマーサを載せて馬車はひたすら王都の中心近くの大神殿に向かうのであった。
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真っ白い髭と髪の毛。
まるで神様みたいに見えるちっこいお爺ちゃんが、部屋の真ん中にあるソファーに座ってニコニコしている。
ココは大神殿の中央区にある面談室。
ミリアの前に座るお爺ちゃんが、大神官様である。
そして、今周りには人っ子一人いない状況である。ナニコレ?
「ミリアンヌちゃんはじめまして」
「はい。はじめまして大神官様」
「あのねえ、『お爺ちゃん』て呼んでね」
「お爺ちゃん・・・」
突然、天上人と言われている大神官にそう言われて目を白黒させるミリア。
「あはは、何か私にお話があるんじゃないのかな? 」
「えっとお?」
「ミリアちゃん、転生者じゃないの?」
「えっどうして知ってるんですかっ」
びっくりしてソファーから飛び上がる。
「あ、報告では水晶玉の光が七色と金色だったからだよ。別次元から来た人は基本的に多色なのが特徴なんだよね」
「ええ~?」
何? その裏設定!
製作者サイドの俺でも初耳!
お読みいただきありがとうございます
ムエタイ良いよね~ 今息子がハマってる。
体が自由に動かせる事のできる人が羨ましい~。
筋トレし過ぎてギックリ腰の作者・・・