泥仕合の結末は・・・
お読みいただき感謝です(*´ω`*)
「嫉妬はしたけどミリアンヌ嬢には恨みはなかったの。それはティーダ侯爵令息も同じよ。ただ彼は、魅了魔法をかけやすい状態だったから利用しただけ」
つまり、ミリアンヌに恋愛感情があったから利用されたということである・・・思わぬところでバラされるとは、彼もご愁傷様である。
「それとミリアンヌ嬢が、誰かのお手つきになればミゲルが彼女を諦めると思ったのよ」
あれぇ~?王弟ルートの余波なのかな・・・
「え、何で俺? 」
慌てるミゲル王弟殿下。
「だって、ミゲルがミリアンヌ嬢と婚姻したら、益々ワタクシが行かず後家って言われるじゃない」
「・・・考えすぎだ。いや、シンシアが考えなさ過ぎで頭が痛い」
頭を抱えるミゲルと、ソレをジト目で見ているミリアンヌ。
「だって、侍女達が騒いでるわよ、ミゲルが、アークライド侯爵令嬢と婚約間近だって! 」
・・・本人達も知らない内にそんな話に。王宮侍女、恐るべし。
「待て待て、ちょっと待て。王宮の侍女教育から変えないといけないんじゃないか? おい、宰相。どうなってるんだ? 」
「いや、侍女やメイド等は侍女頭やメイド長の管轄ですので・・・お妃様? 」
「え、何で私なの? 」
「女性の使用人は後宮の管轄ですから・・・私の管轄は政治ですからね」
色々と揉めそうな雲行きの、泥仕合になりそうな予感にため息をついたのはミリアンヌだけではないようである。
『ウ~ン、悪気が無くても、やって良いことと悪いことはありますが・・・』
貴族の面子の事もあるし、王女の醜聞は王家も対外的な意味でも避けたいだろう・・・
横の席に座る父を見ると何やら考えているようである。
普段は親バカ大全開のミリアンヌパパだが、政界では切れ者で有名人だ。絶対王家に恩を売るつもりであろう・・・
視線を感じて振り返ると、国王陛下が顔色を悪くして、アークライド侯爵を見つめている?
ふと、侯爵が顔を上げ、陛下と視線が絡む・・・
途端にビクッとする陛下と、ニヤリと悪い顔のウィリアム閣下・・・
・・・この二人もなんだかなあ~ コレが終わったら聞いてみようかな、と思うミリアンヌであった。
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正気が戻ったらしいティーダー伯爵がテイラー魔道士長と共に謁見室に戻ってきた。顔色は今ひとつ良くないようだ。
続けて王女の部屋のソファーに座り、放心状態になっていたというマーロウ・シンフォニアも近衛に連れられ入室した。
テイラーをずっと若くしたらそのまんまだろうなーという姿で、少女のように見える美少年である。
『あ、こっちがスチル通りの顔だ』
顔色は良くないが自分の足でしっかり歩いている様子を見る限り、隷属の鎖の呪縛の影響がなくなっているのでは無いだろうか。
「役者が揃いましたねぇ~ 」
父が悪い顔でミゲルとミリアンヌの方を見ながらそう言って微笑んだ。
ティーダー伯爵が父の向こう側の席に座ると、彼に何か耳打ちをし始める。
それが終わると、父はミリアにも耳打ちをして、サムズ・アップをすると知らん顔で前を向いた。
・・・ミリアが『メンドクサーイ』と思ったのはナイショである。
ミリアンヌのパパさんは策士です。
じゃないと公爵領が豊かになる筈が無いし~w