聖女、神殿で暴発する
六歳の魔力検査は王国民の義務であり、この段階である程度の将来の進路が見据える事ができる為、貴族も庶民も関係なく自分の住んでいる領地の神殿に自主的に調べに行く。
貴族は総じて魔力が多めなので、自分の領地を守るための魔法を行使するため、魔法操作を中心に領地経営や、国政を学ぶことが多い。魔力が少なめな者は、職業に特化した教育を施される。
庶民も魔力量に応じて同様の教育の機会を与えられるが、これは各々の領地によって違うのが実情である。
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神殿の審査官は女性で、ミリアに検査手順を丁寧に教えてくれた。
要はミリアの目の前にある、デカい水晶球に触れて、魔力を流せと言うことである。
「あの、審査は私と審査官さんだけですか?」
「ええ、そうですね。人数は少なくても、水晶に魔力が刻まれるので、大丈夫ですよ」
「もし壊れたら?」
「? 壊れたことは無いですね」
「割れたら?」
「ヒビも入ったことはないですよ」
「何かあっても大丈夫?怒らない?」
女性はニコニコとして
「大丈夫ですから、全力で魔力を流してくださいね」
と、答えてくれた。
『よっしゃ~ 言質は取ったぜ! 全力とか最近やってねーもんな~』
ミリアが水晶に触ると表面が七色に輝き始める。
「えっ、あら、いや、七色ってええ~?!」
次に金色に輝く光が部屋じゅうを照らす。
「ええっ、聖属性?!」
続けて『ビキビキッ』という音がする。
「あ、やっべ!」
とミリアが言った途端、水晶球が爆音と共に木っ端微塵になり四散してしまった。
爆風でドアがぶっ飛び、壁が崩れ頭の上のシャンデリアが落ちてきたが、咄嗟に張ったシールドに当たって、足元に転がり、ガラスが割れて散らばった。
最後に水晶球の金属の土台がネジ曲がり、パタン、と倒れた。
「あ・・・ 部屋壊した」
「・・・・」
ミリアが振り返ると、女性が腰を抜かして座り込んでいる姿が目に映る。
「ごめんなさい、水晶なくなっちゃいました~」
テヘっという感じで首を傾げる美少女の前で、女性審査官は意識を手放した・・・
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神殿の女性審査官は、一時パニックになっていたが、時間の経過と共に落ち着きを取り戻した。そして、ミリアンヌの魔力量と八種類の魔力を褒め称え、
「ミリアンヌ様の正確な魔力量は王都の大神殿で無ければ測り切れないと思います。大神殿にて、是非とも大神官様とお会いになって下さい」
と、王都の大神殿行きを勧めてきた。
同時にやたらと立派な、金ピカの縁取りの紹介状を父親である侯爵に
「これが、大神官様との面会の為の紹介状でございます」
と満面の笑みで渡してきた。
これを見て、『よっしゃ~、計画通り!』と侯爵の後ろに立ち、脳内でガッツポーズをするミリアには誰も気が付かないのであった。
お読みいただきありがとうございます
暴発って言うより破壊工作!(笑)