ぬこを飼う王弟
因みに、メルヘンは『真名』なので、メルが呼び名になりました~!
結局、野放しはいかんだろうという事になり『メルヘン』は、ミゲルが王城から離れた東の離宮(つまりミゲルの自宅)ヘ連れ帰ることになった。
大神殿で魔力鑑定をしてもらうと、メルヘンの属性は『光』で魔力は『聖』・・・
魔獣どころか聖獣になってしまったようだ・・・
「ウ~ン、頭は良さそうだから、セバスに文句は言われないだろ」
「でも、吾輩は、御主人の命令しかききませんよ」
「吾輩って・・・変な口調だのう。夏●漱石のベストセラー本みたいじゃ・・・」
「私も離宮について行きたい~ 」
「何言ってんだよ。家に帰んないと駄目だろ」
思わずオタオタするミゲル。
「王城じゃ無いからさ、自由に遊びに来れるから。今日は家に帰れってば」
「うー。じゃあ、行ったらメルヘンと遊んでいいですか? 」
「いいって。俺は騎士団の鍛錬場に行くことが多くて離宮にいないかもしれんが。セバスチャンに託けとくから、適当に何時でも来い 」
ぎゅむーっと、白い(元魔王の)聖獣を抱いて斜め四十五度から見上げるミリアンヌ。
「だから、ソレ反則だっつーの・・・」
鼻を押さえながら、ミリアからメルヘンを受け取るミゲルである。
「おっもしろーい・・・」
お爺ちゃんに戻った大神官様が、ニヤニヤと煙管を咥えて笑っていた。
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セバスチャンは目の前のモノを見て戸惑いを隠せなかった。
「セバス殿、宜しくお願いします。今日からコチラにご厄介になります、メルと申します」
王弟殿下の足元で白い長毛種の猫が、優雅にお辞儀をしているのである・・・
「あ~、それからな、このメルに会いたいって奴が時々離宮に来るから、コイツと会わせてやってくれ」
「は、どちら様でしょうか」
ソファーに座りながら長い脚を組み、合図をするミゲル。壁際に控えていた侍女が紅茶の入ったカップをテーブルに置いて退出して行く。
「アークライド侯爵家の御息女、ミリアンヌ嬢だ。ひょっとしたら弟君も来るかもしれん。仲が良いそうだから・・・」
優雅にカップに口を付ける。
「して、この猫?は。いえ、メル殿は一体?」
「あ~。大神官が言うには聖獣だそうだ」
「聖獣、でございますか? 」
「ああ。魔獣の正反対の生き物だな」
「何で殿下が・・・」
「・・・拾った」
「拾う・・・」
「森で拾ったんだ。名前をつい付けちまったから主従関係になったんで、連れて帰った。まあ、聖属性の魔力もあるみたいだから、魔物避けくらいにはなるだろ」
「・・・・はあ」
「ああそうだ、メル本人曰く、飯は要らんらしい。その辺に漂ってる魔素があれば困らんそうだ。人と同じものは食えるが、ただの好奇心で食うだけらしい」
ミゲルの足下で毛づくろいをしている白猫もそうだが、アークライド侯爵家のご令嬢・・・侯爵閣下の掌中の珠と名高い『妖精姫』がコレ目当てでやって来る・・・
そっと、鳩尾の辺りを抑えながら新しく胃薬と頭痛薬を大量に買い置きしておく場所に想いを馳せるセバスチャンだった・・・
※王弟はぬこを手に入れた
※セバスチャンは薬を買い込んだ
頑張れセバスチャン~
いつもありがとう御座います(^^)