魔王の復活とかいう茶番を阻止してみる
何処までも、ユルユルテキトウのご都合主義ですう~テヘ。
さて。魔王の卵が足元に転がっているのを、なんとも言えない顔で見ている三人。
縦長の卵が、苔の張り付いた岩と岩の間にゴロンと横たわっている。
若干やる気が無さげに見えるのは気のせいか・・・
寝転がってる状態で、高さがミゲルの膝辺り迄ある。ミリアンヌだと太モモの当たりの高さ。冗談抜きでデカい・・・
「魔力が暴走して魔王復活・・・だよね」
「暴走した魔力じゃない場合はどうなるんだろ」
腕組みをして考える三人。
「ティーダー家ってさ、実は代々闇属性の魔力持ちなのよね。だから闇属性の魔力が充電されちゃって魔王になっちゃったんだろうと思うのよねえ~~ 」
「へええ~ 」
@人外美形が人さし指でツンツンと卵を触る。
「あとさ、このサイズの卵が、普通に割れると思う? 」
「・・・無理かな? 確かダチョウの卵でさえ、割るのにハンマーがいるんだよね」
「それな」
「このサイズだと、ビルの屋上から落とさないと無理じゃないの? 」
「「ウ~ン・・・」」
取り敢えず、魔力を込めた正拳突きを思い切り卵に入れてみるミリア。
「ホワタ~! 」←
コンクリートの壁を叩くような鈍い音がする。そして手がメチャクチャ痛かった・・・
「んぎゃ~痛い~! しかもびくともしない~ 」
ちょっと涙目のミリア。
「莫迦だなあ~ 」
ミリアの手を思わず両手で擦るミゲル。
「気をつけろよ。女の子なんだから」
「ハイ・・・」
なんとも生暖かい目で見ている大神官様には気が付かない二人である。
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次にミゲルが腰の剣を鞘から抜く。
持ち手がサーベルっぽい作りだったのだが、何故か刀身が日本刀!?
「何で日本刀なんですか!?」
「あ、これ特注なんだ。コッチのほうが元々馴れてるんだよ。前世は実家が剣道場でさ俺、師範代だったからさ。居合も習ってたんだよ」
「ほええ」
そう言いながら、刀身に触れて気を込めるミゲル。
一度鞘に戻すと腰を落として足を開き、目にも止まらぬ速さで目の前の禍々しい卵に斬りつける。
『グアーン・・・』
変な鈍い音がして・・・
「うわあ、卵に負けたわ・・・・」
トホホと地面に膝をつくイケメン。
何をしても絵になるってズルい・・・ とミリアが思っていたのは内緒である。
××××××××××
「手で割るのは無理。剣も折れそうだわ。この辺に手頃な石も無さそうねえ~・・・あと、重くて運べそうにはないし・・・じゃあさあ・・・聖属性の魔力とか注いでみない? 幸い王家は聖属性魔力の家系だしさあ。三人で流したらイイ感じにイケる気がするのよね~ 」
お爺ちゃん@若者仕様の言葉に、目を見開くミリアンヌとミゲル。
「うっわ、いいんかなソレ」
「失敗したら不味くないですかね」
「基本的に魔物は聖属性の魔力で消滅するから、大丈夫だと思うんだけど~ 」
「ああ、そういやあそうだっけ」
「やってみる? 」
「じゃあ、全員でこう、手の平を卵の表面を触って流す、ってのでどうかしら? 」
両手で卵にペタッと触る@人外美形。
「まあ、やってみるか~どうせこのサイズじゃ、後1ヶ月も持たんぞ」
「え、ソレ不味くね?」
「ゲームの画像では人の身長の半分だったから丁度こんなもんでしょ」
青い顔で冷や汗をかくミリア。
「マズイ~ ヤバい~。間に合わない~」
三人で顔を見合わす・・・
「国王陛下に報告してからじゃないと駄目かな~」
腕組みをして、首を傾げるミゲル。
「ウ~ン、もういいや、お爺ちゃんとアタシがいれば何とかできるはずだし」
お、ミリアが開き直った。するとミゲルが挙手をする。
「あ、俺、剣聖の称号貰うくらいだから、多分お供三人を合わせたよりは強いぞ」
ちょっとだけフフンといった感じ?
「お供三人て?」
「王子、宰相の息子、騎士団長の息子の三人だよ。聖女のお供だったろ」
「桃太郎みたいだわねえ」
「・・・猿、雉、犬・・・ あ、魔道士長の息子が余った・・・」
「ソレは神官長様でカバー?」
「じゃあ? やっちゃう?」
「やっちゃえ~」
「おう」
いいのか、こんなんで、と突っ込む人はどこにも居ない・・・
××××××××××
聖属性の魔力をジンワリ送り続ける三人。
暴走の真逆は? となり、安定とかユックリとか、穏やかとか・・・ 散々揉めたがジンワリ、ユックリで行く事に決定した。
するとどうだろう。卵の色が、変化し始めた。
赤い殻に、黒い禍々しい模様だったものが、白い殻にピンク色の縞模様になり始めたのである。
お読みいただき感謝です〜!(^^)