ホウ・レン・ソウは大事
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とうとう最終章に突入しました✧◝(⁰▿⁰)◜✧
ミゲル・ハイドランジア王弟殿下が次期『聖王』となる事が決定した。
そしてミリアンヌ・アークライド侯爵令嬢が『大聖女』と言われる存在として覚醒し、二人同時の承認式が開催される旨が各国に伝えられた。
これに対して各国は魔法便により祝辞をハイドランジア国王と大神殿に送る事になったが、承認式典に各国の代表が知らせが急すぎて各国から間に合わないという抗議文も集まっていた。
しかしそこは人外@お爺ちゃん。
各国に向けて正式に聖王が大転移を行うと発表したのである。
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行き先が特定でき、その場所に自在に魔法陣を描けるだけの知識と膨大な魔力供給があればメルや聖王、王宮魔導師達の様に自在に転移は出来る。
しかし、他国はそうでもない。
それは各国に転移に魔力を使える膨大な魔力を持つ魔法使いがほとんどいないからである。
それに比べるとハイドランジアでは『転移魔法』はもはや馴染みの魔法である。
ハイドランジア国内なら神殿さえあれば魔力の無い者でも使うことの出来る神聖魔法陣の描かれた転移門がここ十年程で神殿内に備えられるようになった。
この転移門は大きな物も運べるように設計されていて、荷物や馬や馬車サイズ迄なら気軽に移動出来る。
当然料金はお布施として発生するが・・・
この転移門を使う場合は行き先は神殿から神殿という規則がある。
転移した先に人や物が存在出来るだけの空間がなければ失敗する為、安全のための決まりである。
そして、魔力はあれども個人で上手く転移先の設定できない人のための魔道具としてスクロールが以前より普及しているが一般には出回っておらず、専ら冒険者ギルドで販売している。
各国の代表もスクロールを使い移転が出来る事は知ってはいたが、まさか式典に呼ぶために召喚も帰還も転移魔法を使うという規格外のことをするとは考えなかったようで、度肝を抜かれたようである・・・
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承認式を明日に控えた真夜中の国王の執務室である。
「大体、フィルのバカタレが考え無しで日程を組むからこういう事になるんじゃよ! 」
お爺ちゃんがプンスコ怒っている。いや、呆れている?
「「スイマセン! 百年近い昔の頃の資料しかなくて! 」」
国王と宰相が土下座中である。
「ちゃんとワシに相談しなさい。それと、帰ってこれたからいいもののミゲルが王都にいないのにどうやって承認式をするつもりだったんじゃ? 」
煙管を一息吸うとプカァと煙を吐き出しながら眉根を寄せるお爺ちゃん。
「「面目次第も御座いません!」」
はあ、とため息を付きながら国王の執務室のソファで頬杖をつくお爺ちゃん。
「しっかりするんじゃよ。確かにミリーは規格外の聖女ではあるが、同時にミゲルが聖王として存在するのだから何も気にせんでええんじゃよ」
「「?」」
「見たところ、あの子らは二人で一つなんじゃ。お互いにない部分と過剰な部分を補い合う同士じゃ。二人揃えばそう心配することなんぞ起こらん」
「しかしあの魔法の片鱗が・・・」
「【再生】と【復活】かのう? 」
「はい、諸外国に知られる前にと・・・」
はあ、ともう一度ため息をつく大神官。
「阿呆! 」
ビクッとして思わず抱き合う二人。
「本来『聖王』も『大聖女』もそれが使えるのが当たり前じゃバカモン! 」
はぁ? という顔になる国王陛下と宰相閣下。
「え、でも・・・」
「ワシでも使えるわい。ホレ」
ヒラヒラと体の前で手をかざすと、そこに立っていたのは小さな白い髭のおじいちゃんでは無く若かりし頃の人外美形@大神官様であった。
「「え、どちら様? 」」
「『時間魔法』と、『再生』と『復活』が揃えばこのようなことができるんじゃ! 」
大神官の言葉と共に二人共が煙管で頭を小突かれたのは言うまでもない・・・
「フィル、お前この姿のときにオムツ交換してやった事も忘れおってからに・・・モースお前もじゃ! 鼻垂れでビービー泣いておったじゃろうが! 」
「「ひえええ~! 」」
暫く説教が続きそうな予感は多分、きっと、はずれないだろう。
夜は長い。
ダッテコノオ話シギャグデスカラ。